近しい人の死別の悲しみはもう決して会うことができないというショックを人の心に投影するだけでなく、この世界で一緒に歩んでいこうとしていた意識を奪う—。残された側の亡き人への思いが歩いている景色の中で交錯して過去の面影とふたりで過ごした思い出を甦らせる—。亡き人が確かに生きていた証として心に残るシチュエーションと景色が未来へ向かって生きる希望として人の心に働きかけるのには人それぞれに時間がかかるけれど、笑顔を思い出せたら、一歩前進しているのかもしれないと思いました。
その瞬間に心打たれるもの。それは一瞬のきらめきであったり、思いもよらなかった出会いであったりするのかもしれない。そうした胸打たれる景色を目の前にした時、その思いを誰かと分かち合いたいと思う。そう思った先にいる人はきっと大切な人なのではないだろうか。感情とはそこにあるもの。そのままの。自然な姿で。だから私は会いたい。「うん。夏が青い」そう言った彼女と。青い。その言葉を共有するために――。