概要
なんとなく意気投合して、文芸イベントに大学のサークルで参加したりと楽しく過ごしていた。
卒業後、郷里にもどる彼女と疎遠になるのが怖くて、二人でサークルを作って文芸イベントに出るよう私は彼女を誘った。
お互い共通の目標に向かって、がんばりすぎずに、趣味としての創作を楽しもうと話し合った。
けれど、彼女にとって創作は、単なる趣味ではなくなっていったのだった。
――あきらめきれない夢にすがって生きていくことは、みっともないことですか――
夢を追い続ける友と、夢を封印してしまった私。
彼女と再会した私は、かつての夢への蘇る熱い気持ちに、向き合うことになるのだった。
友情と情熱と葛藤の日々が始まる。
<主な登場人物>
凪田 真帆子(なぎた
おすすめレビュー
新着おすすめレビュー
- ★★★ Excellent!!!心の内を満たす香りとともに
友達にして最大の理解者にしてライバル。主人公真帆子のひりつくような心情は、小説を書こうと志したことのあるものなら、自分の物語でもあると感じるのではないだろうか。
二人にだけわかる符号のような待合せ場所や、二人の間に漂う濃密な空気には、よい香りが満ちているように思う。それは、作者が紡ぎだす独特の心地よさであり美しさだと感じる。
一歩一歩、夢への道のりを歩んでいく真帆子の心情に寄り添わずにいられない。
彼女の歩む道のりはぜひ作品で出逢ってほしい。文中を漂う数々の香りや味とともに。
作中に登場する舞台の数々もまた美しい。作品と合わせてぜひ訪れてみたくなる。もしかしたらそれも作者の狙いのひとつでは…続きを読む - ★★★ Excellent!!!文豪の足跡を辿り、私は彼女へ行き着く。
会社を辞めて、作家を目指す女性主人公の物語。大学時代に、文芸サークルにいた主人公は、そこで様々な体験をする。中でも、彼女との出会いは鮮烈だった。彼女は無駄を一切省いたような女性だったが、芯の強さや文章への情熱を持った人だった。そんな中、小説を書き始めた主人公と、女性は再会し、お互いにまだ「文章を書く人間である」という確認をする。この再開をエネルギーに、主人公はコンテストに向けて動き出す。すると出版社から新進気鋭の作家として、デビューさせたいという話が舞い込む。その出版社の熱血担当編集者と共に、主人公はプレコンテストに応募することになるのだが……。
主人公が赴く場所には、文豪たちの足跡があ…続きを読む - ★★★ Excellent!!!作家を志す方にクリティカルヒットな物語!
冒頭の2話で持っていかれて、夢中で読み進め、気付けば最新話にたどり着いていました。
主人公の「凪帆」(あえてこの呼び方で!)は、交通事故からの半年間の療養生活の後に、一時は諦めた小説家になるという夢を目指し、執筆を再開します。
ライバルであり、心の拠り所でもあるのは、学生時代からの友人。
天才肌の友人に憧れつつ、嫉妬もしつつ、もがきながら、がむしゃらに物語を紡いでいくのですが……この姿、他人事には思えませんよね。
自分にはないセンスや技術をもつ憧れの存在と自分のレベルを比較して落ち込んだ経験は、創作に携わったことのある方なら、一度は体験したことがあると思います。
先を行く友人を追いかける…続きを読む