まったく面識のないルヴェシウス侯爵家令息フェヴァンから突然婚約解消を迫られ、なぜなら同性愛者だからと告げられてしまったカンブリーヴ伯爵令嬢アドリーヌ。すぐに諸々が誤解であったことを報される彼女だったが。人々は彼女を男に負けた伯爵令嬢と噂し、しかも元凶であるフェヴァンが今度は彼女へプロポーズをしにきて……
冒頭からもうこのインパクト! 酷い勘違いで暴走した令息に人生を壊されたアドリーヌさん、彼女はけろりとしていますが、ご家族はもう大変ですよねぇ。
でも、家と結婚する貴族社会においては絶対にありえない最悪の出逢いから始まるからこそ、フェヴァンさんのさらなるやらかしが予想外な展開への道標となって、こちらも普通のご令嬢ではありえないアドリーヌさんもいろいろやってしまうからこそ関係性は転じていって――ちょっとおかしな感じで始まったはずの物語が、まっすぐで甘やかな恋愛譚の本性を顕すことになるのですよ。ひと言で感想を述べるなら「すごい」。
女性だけでなく、恋愛物好きな男性にも激・おすすめします!
(新作紹介「カクヨム金のたまご」/文=高橋剛)
留学先から帰国された侯爵令息が自身の帰国歓迎パーティーの場で、留学中に結ばれた婚約を破棄すべく、名前が似通った私を婚約者と間違ったまま衆目の前で婚約解消を告げ、しかも自分は男色家とカミングアウト。受けた側の私は状況が把握出来ず素っ頓狂になるも、彼の勘違いによる失態と判明するも、翌日の新聞にこのハプニングが記事となり、勘違いとはいえ私の名誉が傷つけられ婚期を逃すとまで心配されていた所、間違って婚約解消を告げた彼から、始めこそ失態からの謝罪を含んだ行為から彼女の人格に好意を抱き、交際を申込む一途さに感銘しました。そんな彼に次第に惹かれていくヒロインの姿に可愛い、と思えてきました。
また、終盤貴族の縦の繋がりというか派閥がテーマに加わり、寄り親の為にも、と頑張るヒロインの健気さにエールしておりました。
出来れば続編を願いたく、姉妹と王太子、寄り親の令嬢と4組の結婚シーンが読みたいです。