概要
世界が終わりを告げようとしている……。
一般意志は常に正しい。かつてルソーはそう言ったそうだ。国家を作った目的、つまり公共の幸福にしたがって、国家のもろもろの力を指導できるのは、一般意志だけなんだと……。
――神秘とは、世界がいかにあるかではなく、世界があるというそのこと。
自律思考システム”ドローン”に排除されつつある人類。
絶望の淵で交錯する『ボク』と『キミ』の物語。
SF短編の連作です。
――神秘とは、世界がいかにあるかではなく、世界があるというそのこと。
自律思考システム”ドローン”に排除されつつある人類。
絶望の淵で交錯する『ボク』と『キミ』の物語。
SF短編の連作です。
おすすめレビュー
新着おすすめレビュー
- ★★★ Excellent!!!廃墟の中でも希望を見出す意志の尊さ―。
どのシーンも細やかに構築されているので、想像を描くほど映像が浮かび上がってくるような言葉運びが魅力的な物語。この世の惨劇にはすべて発端があることを伝えようとする強靭な意志と世界観に心動かされます。SFとして物語を構築していく上での作者のテクニックには映像的な趣向だけでなく、生物学、物理工学、薬学、天文学等の知識と論理的観点を駆使して、物語の中に取り入れ、登場人物一人一人に物語を構築していく上での役割を与えていると思いました。人工知能AIの進化で拡大しているロボットの話題も連想させ、AIと人類が共存していくためにはどうしていくべきか省察していくことの大切さも訴えかけているように思いました。
…続きを読む - ★★★ Excellent!!!ポストアポカリプスとは誰にとっての終焉なのか
終焉をむかえる文明世界のなかに生きる人と、それを脅かす機械生命体「ドローン」、そしてエンフォーサーと呼ばれるドローンから人を守るためのヒューマノイド。
エンフォーサーから見たこの世界を、自身のアイデンティティ(存在意義)を意識しながら断片的場面を切り取っていきます。なぜ世界が終焉へとたどり着いたのか。物語が抱える謎は、終焉世界のエンフォーサーの視点から、その先の未来の人々へと移り、そして、その発端となった過去へと舞い戻ります。
それぞれの時代のそれぞれのヒューマニティ(人間性)。そこから、人類という枠を越えた「生命」の意味を明らかにしていきます。生物学的に見た生きるということ。おの…続きを読む