概要
──「このこころが、……造られたものだと、して、も」
エリスと名乗る少女が家に届いたのは、風の強い日のことだった。
透き通った碧眼。柔らかなブロンドの髪が風になびき、金色の軌跡を描く。
少女はゆっくりとした所作でアンティーク調のドレスの裾を摘まみ上げ、膝を曲げて身体を沈める。ややぎこちない、覚えたてのような動きだった。
「お初にお目にかかります、ご主人様」
────────────────────────
「私は機巧人形というものが嫌いなんだ。……全くもって、忌々しい」
腕は確かだが変わり者とされる彼の元には、様々な事情を抱えた機巧人形がやってきて、その度に彼は人形を壊す。
「お慕いしております、ジニアさま」
そんな偏屈な技師に仕え続けた、ある機巧人形の話。
透き通った碧眼。柔らかなブロンドの髪が風になびき、金色の軌跡を描く。
少女はゆっくりとした所作でアンティーク調のドレスの裾を摘まみ上げ、膝を曲げて身体を沈める。ややぎこちない、覚えたてのような動きだった。
「お初にお目にかかります、ご主人様」
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「私は機巧人形というものが嫌いなんだ。……全くもって、忌々しい」
腕は確かだが変わり者とされる彼の元には、様々な事情を抱えた機巧人形がやってきて、その度に彼は人形を壊す。
「お慕いしております、ジニアさま」
そんな偏屈な技師に仕え続けた、ある機巧人形の話。
おすすめレビュー
新着おすすめレビュー
- ★★★ Excellent!!!アンティークな関係、そしてモダンな心が織りなす物語
どことなく紅茶のような赤色が思い浮かぶ世界観で、一人の頑固職人の男性と一体の女性型機械人形が織りなす別れの物語達です。
淡い光に照らされるような工房にて『壊し屋』と渾名される主人公の下に訪れるのは大切な家族、或いは備品と呼ばれる機巧人形達。
彼らは心があり、しかし心の無い感情によって様々な運命を辿ることになる。というのが大まかなあらすじです。
やはりと言うべきか作者である往雪さんの深みのある描写によって心を揺り動かされることがこの作品の一番の魅力でしょう。
壊さなければ暴走してしまう機巧人形。でも死にたくないという感情。
果たしてその感情は自分達と何が違うのでしょうか?
そして…続きを読む