ポストアポカリプスとは誰にとっての終焉なのか

 終焉をむかえる文明世界のなかに生きる人と、それを脅かす機械生命体「ドローン」、そしてエンフォーサーと呼ばれるドローンから人を守るためのヒューマノイド。

 エンフォーサーから見たこの世界を、自身のアイデンティティ(存在意義)を意識しながら断片的場面を切り取っていきます。なぜ世界が終焉へとたどり着いたのか。物語が抱える謎は、終焉世界のエンフォーサーの視点から、その先の未来の人々へと移り、そして、その発端となった過去へと舞い戻ります。

 それぞれの時代のそれぞれのヒューマニティ(人間性)。そこから、人類という枠を越えた「生命」の意味を明らかにしていきます。生物学的に見た生きるということ。おのおのが胸に秘め、つき動かしていく情動という名の生命のほとばしりの果て。

 知的好奇心を刺激されながら、地球という星の上に生きるということへの壮大な問いかけとその答えを、是非目撃してみてください。

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