どこをエンディングとするかで、結末の変わる物語。

 ミステリィとしては不十分、というタイトルの、古典的推理ドラマから切り込んでいく物語。

 この物語を、推理ドラマとして結末するとしたらの終宴と、主人公ユイ・ロクメイカンとヌユン・A・オーエとの物語とするもう一つの終宴。

 読者が予測し、それが外れながらも期待する結末こそが、名作推理小説の要素だとするならば、この構造は、主人公ユイ・ロクメイカンとヌユン・A・オーエの二人が、どれだけ幸せな結末を迎えるか、その選択肢を読者にゆだねる物語だろうといえます。

 読者の選ぶ、最高のエンターテイメントとしての物語、その物語へ至るまでの道筋のために、犠牲となる者たちに、彼らは含まれるのか、このメタ的な構造を楽しんでみてください。