圧巻の密度とハイレベルな知識、それらがまじりあう読み応えたっぷりの作品です。
メインはタイトルにも書いたクイズバトルなんですが、それだけの作品ではありません。
登場するのは前作の『慧眼の少女』そして前々作の『深緋の恵投』の登場人物たち。
さらにこの作品から新たな謎のスーパー女子高生が登場します。
この作品群を呼んできたので個人的にはかなりテンションが上がります。
が、お読みでない方でもするりと作品に入り込めると思います。
基本的には別作品ですし、ジャンルそのものも違いますので、単独でも十分楽しめます。
でもやっぱり順番に追いかけてほしいな、と個人的には思ったりします。
それだけの読み応えのある、楽しい読書体験が得られるからです。
で、今作も期待通りの作品です。
にぎやかで個性的なキャラクター達、ハラハラするクイズバトルの緊張感、二転三転する先の読めないストーリー。
さらに背後には巧妙なミステリー要素が横たわっていて……とまぁ豪華な仕様なんです。
そして読み終えた後の読後感の良さ。
まぁ主人公の女の子とか、元二重人格の彼氏とか、危険な香りしかしない千里とか、とにかく一筋縄ではいかない曲者キャラクター達の競演。
そんな彼らが自らの能力を十二分に発揮するクイズバトルという大勝負。
見どころ読みどころは語りだしたら尽きません。
そしてそんなキャラクターを生み出しつつ、ミステリーを主軸にした物語をつづる作者の仕掛けの面白さと奇抜さ、なにより物語そのものの面白さを追求しているところなんかが、すごくまぶしい作品でした。
本当に面白かったです!
『慧眼の少女』『深緋の恵投』に続く、女子高生ヒロイン・大城優梨が主人公のシリーズ、第三作目です。
先に二作を読んでおくと、よりキャラクターのことがわかるようになりますが、今作だけでもじゅうぶんに楽しめるようになっています。
優梨は恋人の影浦から、経済的な理由で大学への進学はしないと聞かされる。
優秀な頭脳を持つ影浦を、なんとか大学へ進学させたい…そんな願いを持つ優梨がとった行動とは…
なんと、高校生対象のクイズ番組に出演すること!?
本物のクイズ番組の実況を見ているかのような、作り込まれた出題形式、唸るような難問の数々。
某クイズ番組がお好きな方もそうでない方も、最初から最後まで釘付けになること間違いなしです。
特に、タイトルでもある、「トリコロールの才媛」と呼ばれる三人の美人女子高生による頂上決戦は、クイズ対決のみならず、人間ドラマとしても、ビジュアル的にも、最高潮の盛り上がり!
大会を勝ち抜くために集ったチームメイトたちや、大会終了後も尽きることのないライバルたちとの友情など、胸を熱くさせる青春ドラマも盛りだくさんです。
優梨たちは大会を勝ち抜けるのか。
影浦は大学へ進学できるのか。
少年少女たちの人生を彩る、数々の真剣勝負。
ぜひ、その行方を追いかけてみてください。
エンディングまで、チャンネルはそのままで!
同じ登場人物の「深緋の恵投」「慧眼の少女」に続く作品です。
前2作がサスペンスっぽい作品だったのに対して、本作品の題材はクイズ大会。
非日常ではあるものの、前2作と比べると日常の内なので、外伝なのか?
と訝りました。でも、キャラは好きだし、まぁ読んでみるか、と。
それが紹介文を読んだ時の感想でしたが、堂々の3作目でした。
前作から続くサスペンスっぽい要素を背景に入れつつ、メインディッシュは高校生アメリカ横断クイズみたいな番組での活躍です。
それが単なるクイズではなくて、作者自らが編み出したルールも登場したりで、小説でも十分に楽しめます。いや、動画でなくても楽しめる事に驚きました。
普通の早押しクイズなんて、文章は動画に負けそうなもんですが、間の持たせ方なり物語の展開なりで、結構手に汗を握ります。
そして、登場人物達のキャラが良い意味で浮き彫りにされており、一連の作品ファンならば、最も好きになる逸品かもしれません。
この作品から読み始める方には「急がば回れ」と言いたい。クイズの雑学を仕入れるだけでも相当にお得感が有りますが、やっぱり、ね。
ハイレベルの頭脳を持つ高校生たちがクイズバトルでぶつかり合う、並外れた知性と瑞々しい若さが渦巻き氾濫するような物語です。
児童養護施設出身者である男子高校生、影浦瑛。彼の恋人であり、並外れた頭脳と美貌を持つ大城優梨は、優れた頭脳を持ちながら学費がなく大学進学を諦めている景浦をなんとか進学させたいと考え、TV局の行う「全国高校生知力甲子園」で優勝することで賞金を得、彼の学費に充てることを思いつく。
そんな目論見を隠しつつ、クイズに参加するチームメンバーを募り始めた優梨だったが、実はそのクイズ番組の裏では思いもよらぬ巨大な何かが動いているようで——。
参加してきた高校生チームは皆全国トップレベルの頭脳の持ち主。中でも沖縄代表チームのリーダーである桃原千里は、非常に優れた頭脳と美貌を持ちながら、かつて優梨との頭脳対決に敗れた苦い経験があり、今回はそんな優梨へのリベンジに執念を燃やしての参戦だった。
それぞれに強い思惑を抱きつつ臨むクイズバトル。そして、この番組の裏側に潜む巨大な目論見が少しずつ見え始める——。
物語の中で繰り広げられる様々なクイズと、それに挑む高校生たち。この上なく巧みに練られたそのクイズの内容と、全力で難問に取り組み回答を見つけ出していく彼らの尋常ではない頭脳に、読み手は完全に引き込まれ、圧倒されます。そして、このクイズシーンを凄まじいとも言える熱量で描き出す作者様の緻密な思考回路に、深く感嘆せずにはいられません。
現在第4章までを拝読したところですが、物語はここからいよいよ決勝戦に突入していきます。このクイズの裏にある企みも、ここから次第に明らかになっていく気配がしています。スリリングな熱を増していくストーリーから目が離せません。
この物語には、読み手を大きく揺さぶる結末が待っているに違いない。そんな予感を抱きつつ、最後まで手に汗を握りつつ拝読したいと思います。
自身の生い立ちが原因で大学進学を諦めかけていた主人公の高校生影浦 瑛と、彼を支える恋人の大城 優梨や親友風岡 悠たちが「全国高校生知力甲子園」というクイズ大会に優勝して、海外研修を目指す――というお話です。
幅広い分野かつ難関レベルの問題が多数出題されており、作者さまの幅広い知識と作品やクイズに対する追及心が垣間見える場面が多々あります。またクイズ大会と聞くとどこか堅苦しさを感じてしまいますが、クイズ初心者の私でも楽しめるような上質な作風に仕上がっています。
そして各登場人物の心理描写も丁寧に描かれており、読む人の心を引き寄せる不思議な魅力を持つ作品でもあります。瑛へ恋人や親友として接する優梨や悠たちの関係は、お互いの長所を引き出す「触媒」のように優しく描いています。彼らの結束力の強さや、お互いを鼓舞し合うその姿に私も色々と学ばせていただきました。
またジャンルは現代ドラマとなっておりますが、瑛に匹敵するほどの頭脳を持つ女子高生桃原 千里の登場により、ミステリー小説さながらの緊張感がバランスよく表現されています。
さらに今作は『慧眼の少女』→『深緋の恵投』に続くシリーズ3作品目となっており、前作を読んでいればより味わい深い世界観を体験することが出来ます。もちろん『トリコロールの才媛』から読み始めても問題ありませんので、しっかりと読者の心をつかんで離さない、不思議な魅力を持つ作品です。
時間を忘れるほど夢中になれる重厚かつ繊細な作風、そして「全国高校生知力甲子園」の優勝という栄光をつかむのは、一体誰なのか!? 最後の最後まで目が離せない、心地よいスリルが味わえるこの世界観を、ぜひご堪能ください!
児童養護施設に入所しながらも、優秀な成績を誇る主人公。だが経済的な理由から大学進学を断念していた。
主人公のために、恋人が提案したのは『全国高校生知力甲子園』での優勝を目指すこと。
本作は超難問ばかり出題される天才高校生たちのクイズ大会を舞台にした物語です。
三人の天才美少女たちが、激戦を繰り広げながら、心理戦、ハイレベルな頭脳勝負を繰り広げます。
作者様の作品はいくつか拝読させていただきましたが、本作を拝読し改めて作者様の筆力には圧倒されました。
クイズ大会の白熱したバトルとその裏側。
ゾクゾクするくらいのスリルと緊張感。
まるで自分がその場所にいるかのような臨場感。
どのシーンも完璧に描かれています。
超大作・超難度の知力バトル。
知力甲子園で得た熱い友情と絆は、生涯の宝物になるに違いありません。
クイズ番組はいろいろあれど、答えが一個も分からないし、なんなら問題の意味すら分からない……
そんな宇宙レベルの超難問ばかりが出題される、天才高校生のクイズ大会を舞台にした物語です。
何だか難しそう……しかも30万字以上もあるし……と尻込みしたそこのあなた!
大丈夫です!
一旦読み始めたら最後、あっという間に引き込まれ、あれよあれよという間に最終章に辿り着いているはず。
特に大会が始まる第二章以降、加速度的に面白さが増します。
何と言っても、クイズの出題方法のバリエーションがすごい。
定番のゲームでも、少しルールが追加されるだけで、対戦相手の出方と先の展開を読む駆け引きや戦略が必要になってきます。
この心理戦こそが、本作最大の魅力なのです。
例えクイズ自体の内容は理解できなくとも、出場者たちの思考が交錯するスリルと臨場感で、ページを繰る手が止まらなくなります。
しかしこの作品、それだけでは終わりません。
この超難度の知力バトルに、さまざまな陰謀が絡んでくるのです。
それが最高潮に盛り上がるのが、決戦の舞台。タイトル『トリコロールの才媛』が示す三人の天才美少女が揃い踏みとなります。
そこに蔓延る、触れたら切れそうなほどの緊迫感。次々と色を変える展開に、息をするのも忘れて読み耽ってしまいました。
作者さまの頭脳はいったいどうなっているのか。
毎日少しずつ拝読していたのですが、とうとう読み終わってしまって物凄く寂しいです。
とても濃密で充実した読書体験でした。
本当に面白かったです!!
才色兼備の女子高生が、同級生の彼氏を大学に進学させるためにクイズ大会に出場する話。
銀鏡さんの作品は毎回面白いので読ませていただいておりますが、なんと今回はクイズがテーマになっているということで、個人的にクイズが好きな私は余計に楽しみでした。
序盤では、クイズ大会への動機付け、そして仲間集め。
昔の作品にも登場した彼らが再登場します。
※他の作品を読んでいなくても十分に楽しめると思います。
早くクイズが見たい……。
その思いで読み進めると──二章あたりから面白さが爆発します。
主人公たちのチームを幾度も襲うピンチ。
白熱したバトル。
そして何より、タイトルが素晴らしかった。
『トリコロールの才媛』です。
もう一度言います。『トリコロールの才媛』。
何度でも言いたい。
読み始める前は、どんな意味なのだろう……。でも綺麗な響きだな。くらいにしか思わなかったタイトル。
しかし決勝戦に入るころには、ああ、このタイトルしかないな、と完全に納得せざるを得ませんでした。
30万字超えということですが、量を感じさせない面白さ、物語に引き込む力があります。
3人の才媛が彩る、火花散る頭脳戦。その結末を、1人でも多くの方にぜひ見届けてほしいです。
高校生のクイズ大会です。
クイズ、よくここまで取り込んだな、と感心します。読んでて、知識もいっぱいつきます。
そして、ただのクイズ大会では終わりません。
大会の裏側には……。徐々に謎がみえてくるのがいいです。
タイトルのセンス。タイトルの意味は途中で明かされるので本編を!ゴロがいいですよね。口ずさみたくなります。
それぞれの章題に全部ケツがついていたり、細部に渡りこってます。
文章上手く、一般書籍のよう、Webで無料で公開していいのか。
人間ドラマとしても面白いです。キャラが魅力的でした!
長いお話ですが、面白いのでやめられなくなること間違いなし!
読了後、しばらく放心状態になってしまいました。なんという物語に出会ってしまったのだろうと。結論から申せば、傑作です。それも過去最高の。銀鏡さまのお作はすべて拝読してきています。新作が公開され拝読するたびに、もうこれ以上の面白い作品は書けないのではと、失礼ながら思っておりました。そして毎回同じことを思ってきての今作です。邪推があっさりと吹き飛ばされました。とにかく掛け値なしに面白い作品です。前作である『深緋の恵投』、『慧眼の少女』は今作『トリコロールの才媛』を世に送り出すために書かれた物語であったのではないかとさえ思っております。もちろん、前二作も傑作です、念のため。
登場する高校生同士の会話に、実際よりもやや大人っぽい感じも受けますが、主人公である大城優梨、影浦瑛のカップルやチームメイト、ライバルはいずれも秀才・天才であることを考慮すれば気にはならないかと思料いたします。
タイトルの意味がわかったとき、「これか!」と身震いしました。
ミステリーの旗手である銀鏡さまゆえ、単なる高校生のクイズ大会で終わるはずもありません。ちゃんと伏線が用意されています。その伏線に絡む謎もこの物語を盛り上げてくれます。三十三万を超える文字で創作されていますが、読み始めればそのストーリーにのめりこんでいくことは間違いないです。
ラスト、これは三部作(勝手にそう呼びますが)の締めくくりとして、本当に素晴らしい終わり方です。この物語を読まなければ、もったいない! 心からお薦めする傑作です。
今までにありそうでなかった、高校生たちのハイレベル頭脳戦を描いた本作。登場人物たちは作者様の代表作にして処女作の『深緋の恵投』や、そのスピンオフ作品である『慧眼の少女』の主人公たちだ。もちろん、この二作品を拝読していない方も、十分に楽しめる仕掛けが沢山ある。
主人公の天才的美少女は、彼氏を大学に行かせるために、高校生が参加する知力甲子園に参加する。目指すは優勝だが、優勝賞品は金銭ではなかったため、何故知力甲子園の優勝が、大学進学につながるのかは謎だ。
そして水面下で動きを見せる、権力者たちがいる。主人公の彼氏はわけあって児童養護施設にいるのだが、そこに政治家がわざわざ現れ、彼を激励する。そして、知力甲子園の主催者が、今年度から急に変わったのだ。
さらに、開幕した知力甲子園のハイレベルなクイズの回答に、主人公はある規則性を発見する。しかし、その規則性もあるものに当てはまりそうで、当てはまらない。
知力甲子園には、主人公のライバルの少女も参戦している。その少女は主人公に決勝で勝ちたいがために、主人公のチームを助ける余裕さえ見せる。
本格医療ミステリーの代名詞とも言える作者様の、最新作。
クイズ大会という表舞台で繰り広げられる策略と人間関係も見どころだが、ミステリー作家の作者様ならではの、水面下の謎解きも期待される。
是非、御一読下さい。
レビューを書くか非常に迷った。
どういう経緯かは忘れたのだが、筆者さんの「ミックスベリー殺人事件」を僕は直近に読んでおり、WEBで読めるミステリとしてはなかなかすごいものだなと感心して、今回の作品についてもフォローさせてもらった次第である。
しかしながら現時点での読者の食いつきを見る感じ、どうしてやはり序盤でとっちらかった感が強い。
自身がミステリなぞろくすっぽ書けぬ下手糞であることを棚に上げて言わせていただくが、明確な主人公が存在せぬまま複数の視点に切り替わり、時系列もともすると不明瞭で、印象的なエピソードもこれといってないという体たらくのため、キャラクターたちの造詣を印象付けることも掘り下げることもできない序盤というのは、なかなか読む人の心をくじくものがあり致命的である。
実際僕も何度か投げ出しそうになった。
ではなぜここまでたどり着き、こうしてレビューを書いているかといえば、僕は漫然とその辺りを読んでいた(流し読みしていた)ので、幸運にもこうしてたどり着いたかなという感じである。この辺り、一読者である僕があれこれというのはおかしい(まして審美眼も無い)とは思いつつも、余力があるのであれば筆者には手を加えてもらいたいと願っておく。
さて、なんでこんなことをわざわざ念書のように冒頭に書くかといえば、おそらくこれを読もうと思った読者の多くがこのままでは感じることだからであり、その先に待っているものについて言及する際の説得力を増すためだ。
面白い。
間違いなくこの作品は面白い。
何が面白いかといえば、真に迫ったクイズバトルである。
昨今、クイズ番組はバブルというほど巷に溢れかえっているが、そのツボをしっかりと押さえた内容。あるいはそのどれにも当てはまらない、あっと驚くような思いもよらなかった内容。そして、それらを攻略してみせる主人公たちの知恵・思考・駆け引きである。
前作を読ませていただいて感じたが、筆者さんはこういう造り込みが極めて巧い。構成力(ストーリーではなく設定などの緻密さ)に作家性の全てを振っているのではないかと思わせるくらいに、綿密に世界を構成してからそれを小説に描写されている。だからこそ、あぁ、これって実際にありそう&あったら絶対面白いと思えるのだ。
もう一つ。
やはりミステリモノの醍醐味である駆け引きの妙だ。
登場人物たちが一堂に会すると、上に書いた致命的な欠陥は嘘のように霧散した。連綿として紡がれるストーリーの中で捉えやすくなったキャラクターの像は、白熱するクイズバトルと共にぐいぐいと僕をひきつけてくれる。そして、今ひとつはっきりとさせることができなかったそれぞれの思惑――駆け引きが何を意味するのかが、人間が持つ根源的な知的欲求をこれでもかと刺激してくる。
僕はもうそれに完全に絡めとられていると言っていい。
明らかに主人公たちを決勝へと導こうとしている大会運営。
不自然に絡んでくるライバル。
そして伏せられた主人公たちの過去と因縁。
作中でクイズ大会が開催された頃から、俄然面白くなってきたこの物語が今後どういう結末を迎えるのか。口が酸っぱくなるほど言わせて貰ったとおり、ミステリについてはほぼ素人である僕であっても、実に興味をそそられる。
この作品の真相と結末を知らぬまま、物語を閉じるのは惜しい。
そう感じたから僕はこうして筆を執った。
これは読まれるべき作品である。
断じて駄作の類ではない。
という訳で、カクヨムコンにミステリを求め欲する読者よ、ここに集いたまえ。求めるものがきっとある。
……と、書いてみたんですけど、これ普通にカテゴリは「現ドラ」なんですね。あいや、勘違い。
許してヒヤシンス。(赤面ダブルピース)