アパルトマンで見る夢は

作者 リエミ

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★★★ Excellent!!!

与えられた役が上手く演じられない主人公。
それまでは、何なくこなせていたのだろうものが壁にぶち当たったことで、監督から言い渡された「キミカ」を探すための1ヶ月の休暇。
「当たり前にあったもの」を取り払い、「何もない」状況に置かれたことで、今まで見えていたもの以上のものが見えてくる事で得るものは多々ある。

「視野を広げる」と言う事はそう言う事なんだと、一度初心に返り自分を見つめ直すことで新たに得るものがあるとはこう言う事なんだと、非常にためになる物語。

他薦によって、この作品に巡り会えた事に感謝します。

一度今ある物を取り払い、一から出直してもう一度自分を見つめ直したいと思います。

夢を見る事に前向きになれる、そんな作品です。

★★★ Excellent!!!

 一人の女優である主人公が、キミカを探すために舞台監督から一か月の休暇を貰う。指定されたアパルトマンで、暮らし始めた主人公の周りには、才能あふれる人々が集まっていた。絵描きのかける。ギター弾きのオーナー。そして、主人公はスーパーの店員の男性に惹かれていく。女優の生活を続けていたら、きっと目に留まらなかった世界。

 そこで主人公が見つけたものとは――?
 そして、主人公は無事にキミカを舞台に連れてくることができるのか?
 
 私たちはまだ、夢を見ることを許されている。それがどれだけ尊く、恵まれていることなのかが、身にしみてわかる一作。そして何より、夢を向いて歩くことの大切さが詰まっている。夢を追う人に、是非読んでほしいと思った。
 大丈夫、一人の時間が芸術家にとって必要なものでも、私たちは繋がっている。何故なら、「吹く風は同じ」なのだから。

 カクヨムのカク人必読の作品。
 是非、ご一読ください。

★★★ Excellent!!!

舞台で演じるキミカを探すために閑静な街の丘の上のアパルトマンで一ケ月過ごすことになった舞花は絵描きを目指すアパルトマンのオーナーの息子、かけると交流するうちに芸術の奥深さにふれ、忘れていた大切なことを思い出し、人に感動を与えるための心の羽ばたきに気付いていく―。夢に向かうひたむきな思いを胸に歩き続けるふたりの純真さが清々しいタッチで伝わります。

★★ Very Good!!

読み終えたとき、骨のあるアーティスティックなインディーズ映画を一本見終えたような気分になりました。舞台は現代日本なのでしょうが、読者はどこか知らない場所に連れて行かれたかのような独特な空気感を味わいます。それはタイトルや丘の上のアパルトマンという舞台設定以上に、さり気ないようで実はおそらく考え抜かれている人物造形とストーリー構成によるものでしょう。

変わり者たちの偶然の遭遇にしか見えなかった、期間限定の緩い関係性。しかし、最後にはそれが何か大いなる力によって引き合わされた結果に思えてきます。何気ない一言やちょっとしたアイテムの全てが見事に一本の糸のようにつながっていく様、そして各人の日常がその先に見えてくるようなエンディングは見事と言うほかありません。

苦悩と内省。出会いと気付き。選択肢と迷い。「バカンス」という名の彼らの一ヶ月を目撃した私たちもまた、新たな一歩へといつの間にか背中を押されています。何者かになりたいあなたや、何かを生み出したい君に、きっと響く物語。

★★★ Excellent!!!

上手く与えられた役を演じられない――。
女優として順風満帆だった舞花がつまづいてしまったのは、キミカという女性の存在。
キミカとはどんな人物なのか。どう演じたらいいのか。女優とはどうあるべきか。舞花は答えを見つけ、キミカと「出会う」ために監督から1ヶ月猶予(休暇)が与えられます。
入居先のアパルトマンで出会ったおしゃれで不思議な画家かけるくん、そして1日1日の生活の中から、舞花は答えを探していくのです。

舞花が見るもの関わるもの1つ1つがとても丁寧に描かれています。そこから舞花が常に探っている様子が伺い知れるでしょう。画家かけるという人物の面白さ、人間性、彼の持つ世界観、ものの見方考え方も、とても深く書かれています。
スランプに陥ってしまった舞花からは、きっとスランプから脱する方法を学ぶことができるでしょう。何かに行き詰まってしまった方こそ、この物語を読むべきです。
絵、小説、音楽、舞台、その他様々な芸術に触れる人に、私はおすすめしたいと思います。

★★★ Excellent!!!

監督に「キミカ」の代わりをさせられる舞花は彼女を探しだすため、丘の上のアパルトマンへ。

かけるのちょっとぼけた一言で、舞花の心が解れていく様子は、繊細で状況がよく思い浮かべられます。
女優でありながら、スーパーで働いている要二に心惹かれてしまい、遠くから見つめる舞花は好感の持てる主人公でした!

サーカス小屋での描写には大変興味がひかれ、子供の頃に見た懐かしいステージを思い出しました。
そして、舞花が見つけたキミカとは……読み進めるたび輪郭を現していく、そんな心温まる作品です。