生津直

何気ないひと夏の出来事が、確かな手触りをもってビビッドに語られる。主人公の少年という「個」の視点に徹し、読者を彼の心に入り込ませていくのが実に巧み。はっとさせるような名文も随所に光…続きを読む

空襲で焼け出され、親類宅に身を寄せた少年。生活をともにすることになったのは、不思議な「かん」の力を持つ従姉妹と、謎めいた生き物「くだん」であった。この「くだん」が口にする意味深なカ…続きを読む

エピソードそのものと表現法の両方にオリジナリティがあり、それでいて共感性も高いのがすごい。 局所的な切実さを効果的に描写する。それを普遍性へと結び付ける段階を読み手の脳内でごく自…続きを読む

何気ない疑問から徐々に不穏な空気を立ち上らせ、日常とホラー性の境界線を絶妙に薄めていく技量に感服しました。無理がなく、それでいて確実に読者の感情を揺さぶってくる見事な構成。そして、…続きを読む

勇気あるテーマ選択自体も高く評価されてほしいが、もっとすごいのはそれを効果的に見せるテクニック。終始ダークなようでいて、いわゆる胸糞感のための胸糞展開とは明確に一線を画している。い…続きを読む

このテーマ自体は思いつく人もまあいるかなと思うのですが、そこへの持っていき方、言いたいことを言うための手法・発想が素晴らしいと思いました。 まず、引きの上手さ。 さらに、その引き…続きを読む

文章のリズム感といい、ストーリーのエンタメ性といい、メッセージ性といい……すべてがハイレベル！　作者様のセンスのなせるワザでもあるのでしょうし、いい意味で高度に計算されてもいるよう…続きを読む

カクヨムの短編で何かおすすめない？　と聞かれたら、真っ先に浮かぶのがこれ。 短編賞に応募なさっていると知り、再読しました。改めて、文章も構成も素晴らしい。 これほどドラマチックな…続きを読む

読み終えたとき、骨のあるアーティスティックなインディーズ映画を一本見終えたような気分になりました。舞台は現代日本なのでしょうが、読者はどこか知らない場所に連れて行かれたかのような独…続きを読む

大学生と准教授という、ともすればありきたりに陥りかねない設定を、人物造形と文章力で見事に独自の色に染め上げています。しかし作品の真髄はおそらく、そのオリジナリティをさり気なく包み込…続きを読む

瑞々しい恋心や戸惑いが過不足なく表現され、いつの間にか感情移入してしまう作品。音に注目しているのも魅力的なポイントになっており、主人公の名前の使い方もうまいなと思いました。 長さも…続きを読む

超短編の凄まじい威力を見せ付けられる大傑作！　度肝抜かれました！　あっさり読める長さなのに、強烈な余韻にやられてしばらく他のことできないかも。