ネット小説界では数少ない、文学性の高い作品

大学生と准教授という、ともすればありきたりに陥りかねない設定を、人物造形と文章力で見事に独自の色に染め上げています。しかし作品の真髄はおそらく、そのオリジナリティをさり気なく包み込み、物語全体をしっかりと支えている絶妙なリアリティ加減にあるのではないでしょうか。書きすぎない抑えた心理描写も巧みで、登場人物たちの世界に無理なく引き込んでくれる、よく練られた小説だと思います。他のどの作品とも似ていない、強く印象に残る作品でした。

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