とにかくゾクッとします短編なので中見に触れるとネタバレになるのが歯がゆいです数分で氷をかぶったようにゾッとできるので夏にお勧めです
小さな鳥居の謎。このお話は主人公目線で進み、どこか白昼夢のような雰囲気があります。真夏の悪い夢。ふとした瞬間の哀愁のような。その鳥居がなぜそこにあるのか。その奥には、いったいなにがあるのか。境界線が曖昧な日本人は、内外、手前奥の隠れた場所に、想いを寄せる。初夏の独特な雰囲気。そして、日本人の性質が調和したある種の不気味さも感じるお話です。皆様もぜひ、ご一読くださいませ。
何気ない疑問から徐々に不穏な空気を立ち上らせ、日常とホラー性の境界線を絶妙に薄めていく技量に感服しました。無理がなく、それでいて確実に読者の感情を揺さぶってくる見事な構成。そして、完璧としか言いようのないこのエンディング。恐怖も確かに味わうけれど、読後に残るのは怖さとはまた別の何かだと思います。小説としての完成度の高さに惚れ惚れしました。皆さん、ぜひお読みください!
たくみな筆致で、ひじょうにリアルに描かれる現代の怪談。冒頭でなげかけられる鳥居という小さな謎が、しだいにふくらみ、じょじょに高まる不安感。世情を取り入れ、ムリなく、ムダなく、自然にホラーの世界へ誘う技量はかなりのもの。これです。こういうのを読みたかったんです。
薀蓄物かと思って、読み進めました。すると、徐々に雲行きが怪しくなる。頭の中で黒い入道雲がモクモクと蜷局を巻き始める。ポツリ、ポツリと雨もパラ突き始めた。「あれっ⁈」とジャンルを確認すると、ホラーでした。薀蓄物だと早合点した私が悪いのですが、肩透かしを喰らったのと、(近所に同種の存在が有って)アレの正体を既に知っていたので、星2つです。まぁ、最大の理由は、短編にはMAX2つが信条だからです。