概要
小学校は恐竜の時代で、おれの担任はステゴサウルスだった。
小六の思い出、自画像の宿題をいつまでも提出しなかったこと。
「描けたか?」「描けません」、不毛なやりとりを毎日繰り返し、反抗していた。
おれの傷はゆっくり消えていったという経験の話だ。ゆっくりでしか、なおらなかった。
「描けたか?」「描けません」、不毛なやりとりを毎日繰り返し、反抗していた。
おれの傷はゆっくり消えていったという経験の話だ。ゆっくりでしか、なおらなかった。
おすすめレビュー
新着おすすめレビュー
- ★★★ Excellent!!!レビューを書くことがためらわれるほど、何の説明もいらない名作
エピソードそのものと表現法の両方にオリジナリティがあり、それでいて共感性も高いのがすごい。
局所的な切実さを効果的に描写する。それを普遍性へと結び付ける段階を読み手の脳内でごく自然に行わせる。この2つの技量が飛び抜けていると思います。「あの頃のおれ」と担任教師をジュラ紀とステゴサウルスで見事に結び、この思い出話の出どころへと着地させる流れに唸りました。
小説としての完成度に感嘆させられるし、あらすじもキャッチコピーも素晴らしいので余計な説明を加えたくない。しかしもっと多くの人に読んでもらいたくてこのレビューを書きました。名作です!