生津直

各人が持つ布団哲学。各布団の上で広がる布団宇宙。広大無辺の温かく柔らかい、時折腐る宇宙で起こる物語の一つ。

【カクヨムWeb小説短編賞2022 「令和の私小説」部門 短編特別賞受賞作】 何の変哲もない日々。ひとりで食べる、昼食のカップラーメン。 そんな地味な主人公が、ひょんなことから…

柴田恭太朗さんの三題噺企画に寄せて。 お題「報告書」「ダンボール」「友情」 短編賞創作フェス（お題「スタート」）にも参加してます。

「ウサギとは、哀れな生き物よ」 甲府の山中。 道に迷った一人の侍の眼前に小さな灯りが一つ。 ほうほうの体で辿り着いたそこには、亡き妻に瓜二つの女がいた。 差し出された一杯のう…

　坂下ユウは幼い頃にあることが原因で、人の皮膚が見えなくなった。それから十年以上の時を経たある日、ユウのクラスの担任が突然退職した。学年で浮いた存在である橋上アキラが疑われるのだ…

「毒親は捨てていい」 「友達も恋人も必要ない」 「結婚しなくてもいい」 「学校は行かなくていい」 「仕事は辞めていい」 「嫌なことからは逃げていい」 「自分のことだけ考えていい」…

「まほろば水族館へようこそ」 館長の鮫島は丁寧にお辞儀をした。 航平と湊は小学校最後の夏休みの思い出に、海沿いにある廃校を探検する。月明かりに照らされた廃校に忍び込むと信じられ…

裕人と莉絵はつましい暮らしをしながら子供を待ちわびる日々だが、三年経っても授かることはなかった。 彼の母からの遠回しの催促に神経をすり減らし、どこか人ごとに構える裕人に莉絵は不信…

この作品は筆者の短編集「おかしな収束」から抜粋し加筆修正したお話です。 ※この作品は全てフィクションです。作中に登場する人物・団体・名称等も作中で発生する出来事も、全て作者の想…

この世で起こる物事には、全てにそれが起こった理由が存在する──と、常々考えている平凡な高校生の秋山翔太。 しかし彼は今、どうしてもその理由が解明できない出来事に遭遇していた。それ…

貧しい家庭で生まれ育った少年──有村拓馬。 漫画もおもちゃもテレビゲームも買い与えられなかった彼の娯楽は、電灯の紐に向かってパンチをする『紐パンチ』だけだった。 やがて彼は高校生…

異世界と空間を結ぶことにより、宇宙の膨張がこの世界よりも遅い異世界と、この世界の空間密度の差を利用して電力を発生させる技術＝時空位相差発電システム。 10年前の交通事故で亡くなっ…

人語を話すことができる猫の、ちょっぴり切ない、でもあたたかい、日常の一幕。

　誰よりも優れた才能を持つ剣道少女・マキジャク。しかし彼女は、道場の師範である祖母に強要される剣道を嫌い抜いていた。 　そんな彼女のライバル・モノサシ。類まれな情熱をモノサシだが…

ハッピー心と心の触れ合い、観覧車に乗る話 ※あまりハッピーではない 短いので読んでください！ ※2024.3.カクヨムコン円城塔賞、最終選考選出(30/2168作) ありがとう…

※カクヨムコン応募作品です。もしよければ評価やレビューなどで応援していただけると嬉しいです！ 人生は無駄が多すぎる。 一度間違えば取り返しのつかない要素。ロードもできないセーブ…

友人の璋子は花布芙蓉と飲んでいるとふと自分が人魚であることを告白した。

昭和初期。 雨に降られてたまたま入った銀座の「カフェー･シャトン」では、幼い少女が「鉱石（いし）の辻占（つじうら）」を売っていた。女給のうた子にせがまれて、辻占を買った佑（たすく…

とある離島で起きた、奇妙な出来事……

運転手がパンダの格好をした奇妙なタクシー。 家路に向かう車内で交わされる会話はいつしかパンダの身の上話に。 疾走していくタクシー。 剣呑さを増していくパンダの自分語り。 その行き…

なんとなく吉原っぽい777字です。 KAC2023参加作品です。第7回お題「いいわけ」

新幹線に乗っていた鎌田は、小学生に話しかけられる。彼は母親に内緒で父親に会いにいくところだという。 KAC20237お題「いいわけ」参加作品です。

皆からの愛を一身に受ける麗しき女隊長には、実は恋人がいた。嫉妬に苦しむ恋人に、女隊長は弁明をする。

俺は、真由子の作ってくれるパンナコッタが好きだった。

20代前半の若かりし頃、私は中央線・武蔵小金井駅から南に徒歩約15分のアパートに暮らしていた。そして、付き合っていた女がいた。

私と霧島くんは、週に一度、タコライスを食べるタコライスの会を開いている。

来週の授業参観に向けて作文を書いた三年三組の子供達。 そんな中、奏世真（かなよ　まこと）くんだけが先生に教室に残るようにと言われるのですが……。

帰宅途中、小さな星になつかれて〝太陽〟となった私のSF（センチメンタル・ファニー）的小話。 『そうして人類は永遠の眠りについた。』という一文を「書き出し or 書き終わり」とする…

究極の二択を迫られた時に絶対に正解を外さない男は、起爆装置の赤と黒のどちらの線を切るべきかの決断を迫られていた。 KAC2022参加作

ショートショート 人類の希望を託して選ばれた者達は地球をたつ。 小説家になろうでも投稿しています。

【カクヨムミステリ週間ランキング1位(2022/1/17)、日間ランキング1位(2022/1/15)獲得！！たくさんのご訪問ありがとうございます！！】 季節は3月。別れと出会い…

残酷描写も暴力描写も性的表現もありませんが、R15です。良い子のみんなは、まだ読んじゃ駄目なんだよ。大きくなってから読んでね！ これは、４歳の男の子のためにプレゼントを用意しよ…

もしも24時間後に地球が終わるとしたら。誰もが考えたことのあるお話。

作者の実体験をベースに、望郷の念と、故郷って良いよねって気持ちを詰め込みました。 「あー、わかる」 そう言っていただけると本望です。 板野かも様主催「第5回 #匿名短編コン…

カクヨムWeb小説短編賞2021【短編小説部門】 　　　☆短編賞☆を受賞致しました　読み切りでコミカライズします！ （満月の晩に泉にいるのは鶴ばかり） それは誰もが幼い頃から繰…

戦場看護師として従事していた私に、国王様より直々の職務を命じられました。 それは、かつて英雄と呼ばれた男を最期までお世話すること。 これは、英雄を看取るまでの私の思い出話です。

友達を見舞った帰り道、万年筆を眺めながら物思う夕べ。夏の終わり頃のあの独特の蒸し暑さと切なさを感じてください。

塀の向こうに見える背の高い棕梠（シュロ）のこと。転校したこと。授業中に友だちからまわってきた手紙のこと。 他愛ないことを回想する話。 Text-Revolutionsアンソロジ…

好き・嫌いで語れることは、この世、そんなに多くはない。

カクヨムの運営姿勢に納得がいかないので、引っ越すことにしました。詳細は近況ノート（https://kakuyomu.jp/users/kakuyomist/news/168173…

2017年に開催された第七回本物川小説大賞で金賞を受賞した作品。事情によりオリジナルは残っておりませんので再録となりますが、誤字脱字ほかの微修正以外は手を入れていません。 授賞…

【あらすじ】中央線の西荻窪。できれば停まらず通り過ぎて欲しかった。彼のことを思い出すから。話すことが苦手な不器用なバンドマン。一緒にラーメンを食べた日はずっと忘れない。 第2回…

小さな森の中で儀式を行う原住民を調査する依頼を引き受けて、特殊工作員がジャングルへやって来た。 彼はその小さな森から脱出できるのか？

　俺は告白に成功して、同じ映画研究部の美少女明音（あきね）と付き合うことが出来た。彼女は自分の未来を見ることが出来、俺と恋人になる運命も知っていたのだ。 　付き合い出して幸せな日…

カクヨムの運営姿勢に納得がいかないので、引っ越すことにしました。詳細は近況ノート（https://kakuyomu.jp/users/kakuyomist/news/168173…

私の集落は突然一人の男に襲撃された。私の夫が殺される。男は私を見つけ出した。私も殺すのだろう。まだ、私の赤ちゃんには気づいていない。待って私の赤ちゃんだけは、やめて。私の赤ちゃん…

旦那と息子の三人暮らしをしている「私」。 女性のやるせない気持ちをリアルに綴った掌編小説。

――地上にしかいられない。空を見ても、何も見えない。ビルからジャンプすることでしか、どこか行ける気がしない。そういう、子供じみた感傷なんだ。

25歳になったテスは、死ぬ権利を与えられた。周りはみな幸せな死を迎えるというのに、彼はいつまで経っても胸のざわめきの正体を知ることができず、死を迷っていた。いったいどうすればいい…