概要
貪欲に加速する赤い狂気
裕人と莉絵はつましい暮らしをしながら子供を待ちわびる日々だが、三年経っても授かることはなかった。
彼の母からの遠回しの催促に神経をすり減らし、どこか人ごとに構える裕人に莉絵は不信感を抱く。
辛い不妊治療の末に子供を授かった幸せも束の間、出産を間近に控えて莉絵は流産する。
意気消沈した彼女に裕人が勧めたのはペットを飼うことだった。
赤色の小さな魚は彼女の心の拠り所となるが、やがて狂気へと導いてゆく。
彼の母からの遠回しの催促に神経をすり減らし、どこか人ごとに構える裕人に莉絵は不信感を抱く。
辛い不妊治療の末に子供を授かった幸せも束の間、出産を間近に控えて莉絵は流産する。
意気消沈した彼女に裕人が勧めたのはペットを飼うことだった。
赤色の小さな魚は彼女の心の拠り所となるが、やがて狂気へと導いてゆく。
おすすめレビュー
新着おすすめレビュー
- ★★★ Excellent!!!いざなう紅き胎動と、残された狂気という名の退廃美
ーー本当はこの子が生きるはずだった。
不妊治療、死産を経験し、次第に精神が擦り減っていく妻の莉絵。彼女を励まそうとペットを飼うことにした夫の裕人。この物語は、諦めきれないわが子を思う歪な執着が、数奇な運命を辿る狂気めいた退廃的ホラーだ。惰気満々として家事をしなくなった妻は、ペットをまるで我が子同然のように溺愛し、朽ちるように堕落していく。
淀んだ瞳。射抜く憎悪。
変わり果てていく妻の姿と散乱して汚れていく部屋とが異臭の如く符合し、破滅へと向かう精神世界が、次第に壊れていく日常をリアルに描き出す。
どこか惹かれる退廃的な美しさ。当て嵌め難い形容が不気味に五感を狂わせる。
狂気ーーまさに生き狂い…続きを読む