時代物の描写が美しいのはもちろんのこと、ぐぐっと引っ張られるストーリーが大変面白かったです。終わり方も好きです。
正統派であるものの、タイトルとキャッチコピーをカクヨムに寄せているのが凄いと思いました。 そして、圧倒的な表現力と文章。 こんな言葉の使い方があるのかと感嘆しました。 内容自体はあっさりしている、でも読んでいくと段々と面白みが増してくる。まるで高級梅干しのお茶漬けを食している…そんな内容でした。 感想としては、これだけの文章力を持った人と漫画家が組んだ、カクヨム産時代劇漫画を見て見たいなと正直思いました。
まず、文章が上手い。芥川のような描写の的確さと音にした時のリズムの良さがある。正直ネット小説でここまでの文章に会えると思っていなかった。それほどまでに文の上手さと雰囲気がある。しかし、だからといって文の上手さにかまけているわけではなく、短いながらも物語が丹念に作られており、読了感もある。本当に素晴らしい名作。
小平治という男が主人公になります。その妻、おさきと、謎の女――おあきが物語の主軸になっています。そして昔は食用として重宝されていた「うさぎ」。これらの道具がうまいこと仕掛けを動かしているように感じました。うさぎ汁をうまいと言う小平治。そしてその味はおさきにもつながる。だが、それだけではない。うさぎという動物の習性が、彼の中の何かを変える。そしておあきの心も……。まとまりのある歴史ものとして、とても楽しめました。
たった二文字の題名。流行から外れたそれは、物語の時代背景と本質をしっかりと表現し、その小説内容は一話完結ならではの美に溢れている。古典、と言ってよいのかは分からないが、ただの昔話と解釈するには勿体無い作品だと思う。