靴擦れ

その答えがわからなくて、何度も読み返してしまいました。
もしかしたら、もしかしたらと、読み返す度に印象が変わり、追体験のループにはまるような、深く考えさせられるお話でした。

淡々と過ぎていく日常が、その生活感を肌で感じる程に色濃く描かれていて、ふとした瞬間に垣間見える心理描写が、深く心に刺さります。
何度読み返しても飽きがこないどころか、読む度に引き込まれる文章力には脱帽です。

最後のシーン、揺れる心をしまい込んで、また日常に戻るその姿に、共感を覚える読者は多いと思います。
この余韻から抜け出すのがすごくもったいないと思える程に、素晴らしい作品でした。

なんとなくやるせないような作品であるとともに、私は個人的にはまだ希望を捨てない女性の話だと感じました。
自分が輝いていた(と思ってる)時代の靴を捨てられない…懐かしいというより諦められないように感じました。
けれど今の彼女も後から思えば輝いてるとおもうのですがね。
私は彼女よりも年寄りなので、捨てられない彼女も可愛らしく感じました。