カクヨムの短編で何かおすすめない? と聞かれたら、真っ先に浮かぶのがこれ。
短編賞に応募なさっていると知り、再読しました。改めて、文章も構成も素晴らしい。
これほどドラマチックなのに押し付けがましくない。どうしたらこんなことができるのかわかりません。非常に高度な文学。悲しいでも切ないでもない、「胸アツ」でここまで泣かせてくれる作品は超貴重。
歴史的な出来事と主人公の人生のリンクがまた絶妙です。これを一体他の誰が書けるか、いや、書けない、と言い切れる珠玉の名作。
さらにタイトルも秀逸。繰り返し読む価値が十二分にあります。ぜひお読みください!
プラネタリウムに魅せられた女の子。
彼女が少しずつ成長していくのを追ったストーリーだが……。
ある地点から一気に『既知の世界を越えた場所』へと飛び出す。
それは物理的な空間ではなく、時間軸を基準にしたものではあるが。
その一行に達した瞬間、私はゾワッと鳥肌が立つような感覚に襲われた。
リビングのドアを開けたらそこが宇宙空間だったかのような……
それは『解放感』ではなくて、なんと表現したらいいのだろう、どちらかと言うと『不安』と『期待』と『恐怖』と『喜び』……ああ、『畏怖』が合ってるかもしれないな。
宇宙空間に放り出されたような感覚だった。
それなのに、すぐそばには仲間や家族の暖かさがあって。
なんともスケールの大きい、それでいて手の届くところにある人の温度を感じる、不思議な物語だった。
私には宇宙《そら》はいいぞー!って何度も何度も訴えかけてくるような小説に思えました。いや、本当いいんですよ、宇宙って。
淡々とした年表とその解説文的な文章、宇宙的です。
歴史的事実とその延長線上にあるようなifストーリー、まさに宇宙です。これを思い描けないと宇宙開発なんてやってられないでしょうし、宇宙ファンも宇宙を追えません。
侵略者というガジェット、これないと子供に宇宙を与えられません。まあ、今は、はやぶさ2とかで直接的な宇宙を与えられる時代ですけど……
繰り返しになりますが、全てにおいて宇宙はいいぞというのを訴えかけてくる感じがしました。
みんなー! ソラは! 天空は! 宇宙《そら》は! いいものだぞーーーー!!!
冒頭の荒廃した世界。
それを語り部の子供のころから遡ることによって、どうしてそうなったのかを紐解いていく物語です。
年表に沿って、淡々と綴られる中にも、作者のセンスが光る秀逸な言い回しがあり、それが独特な文章世界を作り上げ、引きずり込まれました。次々に文字が入り込んでくるイメージです。
短い作品であり、これ以上語るとネタバレになってしまいますが、私はウルティマ・トゥーレという言葉のあとには鳥肌が立ちましたし、物語の終わりには納得のし過ぎで唸っていました。
私はこの短い物語で、宇宙的規模の感動を胸に刻みました。
この作品はまさに、私にとっての『ウルティマ・トゥーレ』!
小説は絶対評価ということで、星の数は適当です。
とりあえずタイトルの『ウルティマ・トゥーレ』について知らなければ検索をかけずに、まずこの小説を読んでみることをお勧めします。
何しろ、先ほど「そういえばロマンとロマンスってどう違うんだろう」と愚かな検索をしたせいでレビューで何を書こうか失念してしまったアホがいますから。物語が連れてくる感動は検索不能です。
以下、小説本編について。
宇宙に想いを馳せ続ける人の、人生の物語。一人称で各時代の事件や宇宙的な発見、出来事とともに、やたらと天文学的に物事を捉えたがるユニークな思い出話が続いていきます。
第三宇宙速度を超えた先のロマンと、地に足のついたロマンス。宇宙と日常、二つの車輪が辿り着く先に、検索を超えた爽快感があります。