詩一

雨が降って、そしてやんだ。それだけで、彼女の世界は……なにも変わらなかったけれど、確かに変わった。
些細なおおごとで、待ってた番狂せ。

雨の日のような、静かな気持ちになれました。

生きていたものを食べて生きていたものを食べて生きていたものを食べて生きているのにどうして寂しいなんて思うの 人間の感覚のバグを字余り（と言うか字破壊）で表現されていてすごいなあと…続きを読む

ぼくのこと好きなんでしょう本当はプリント回すとき手が触れたし この絶妙な気持ち悪さが、自分の過去に見事に重なり、２０年越しの羞恥心に情緒がおかしくなりました。 と言うような感じで…続きを読む

サンマ缶いつかの旬の封を解く こちらの句が特に好きです。 「いつか」と言う不明の過去と「旬」と言う今が介在するフレーズがたまらなく好きです。 また、「サンマ」が「旬」なのは明白な…続きを読む

徹頭徹尾偏見の物語でした。 その偏見がかなり「あるある」で、主人公道間慎之介の偏見にはかなり首肯できます。そして笑えます。 何事にも動じない冷静沈着な性格に、偏見が交わるとこんなに…続きを読む

配慮、配慮と世間が言うから、本音を口に出せない世の中になってきていて、それゆえに楽しくないなんてこともあると思う。けれども逆に、まったく配慮のない人間が、まったく悪意なく、友達とし…続きを読む

お見事な作品でした。 最初の話は皮肉が効いており、ものすごく笑えました。 次の話は納得感があり、ものすごく笑えました。 最後の話はあまりに感動的で情緒が乱されました。もちろん良い…続きを読む

タグに悲恋とあるだけあって、ただの甘い恋などではありません。 結末に、うなだれてしまうほど。 しかし、つまり、だからこそ、そこに息づく人物たちがあまりにも魅力的であったと言う証左に…続きを読む

あなたの夢はなんですか？ そう聞かれたときに、自分のことだけを考えて答えられる人はきっと幸せなんだと思う。 誰かの顔が浮かぶ人は、どうかもう一度考えてみてほしい。 そんなことを考…続きを読む

実体のないものというのは気味が悪く、調査や対策が難しいものです。 この物語に出て来る『告白権』と言うものも、大変あやふやなものでして。 それでまあ、そりゃあそうなるか……と。 み…続きを読む

自分が10年進む間に友達が1年しか進まないような世界で、それでも人々の関係性を保つために作られた機関——時間共有サービス。 想像すらしたこともない世界で、しかしその中で描かれるのは…続きを読む

これは終始『心情の暗喩』で書き尽くされた物語だと思いました。 しかし、最後まで読むと「果たして本当にそれだけか」とも思わされました。 また、途中に出て来た友達のセリフが読後にじわじ…続きを読む

これは読む人によって解釈が変わる作品だと受け取りました。 ガラスの心が比喩なのか、事実なのか。 壊れると現れる「あの子」が何者なのか。 語られないままに、しかし生々しく語り掛け…続きを読む

『きし』に憧れる一匹のうさぎ。 群れから嫌われ孤独に過ごしていた彼の前に現れた迷子の少女。彼女と出会うことで『きし』になれます。 そこで本物の『きし』とはなんたるかを学んでいく。 …続きを読む

タイトルを見て、句を見て、またタイトルを見る。
おお、そういうことか。と感心しました。

確かに増殖するSOUND AND SOUNDでした。

この短歌集の中で「あ。これ好き」と思わず呟いてしまった歌を上げます。 『新宿の雑踏が好き地面から少し浮いても気付かれないし』 人と違う人。浮かないように気を付けている人。神経質…続きを読む

この世に生きる「生きれてねえやつら」が、全員共感するような内容なんじゃないかなって思いました。 そりゃみんなこれほど追い詰められていない人がほとんどでしょうけど。 「死にたい」と…続きを読む

雪山に登ります。遭難騒動があります。妖怪も出てきます。最後には「くそおお！」という事態もあります（ネタバレ回避）。 とても怖いことばかりですが、しかしそれらすべてがとってもライトで…続きを読む

そんなキャッチコピーあるの！？
短いのであまり内容は書けませんが、愛がキーワードでした。
ちょっぴり切なく、ほっこりしました。

対比が光る歌が多くて唸りました。 私が特に良いなと思った歌は 『雨ならば何時に降るか分かるのに君の涙に予報は無くて』 です。 雨ならばその時間を避けるが、君の涙なら……？　と問わ…続きを読む

大切に育てて来た自分の世界を、世界に届けるためにクリックを押したあの日。 東の空を見つめ、凪の中風を待つ。黎明。そのような感覚でした。 憂い、戸惑い、喜びの機微が歌われていて、と…続きを読む

「おいたん」さん尽くしの短歌でした。
愛情がたっぷり詰まってほっこりしました。
「おいたん」さん、幸せだろうなあ。

幸せのおすそ分け、大変ありがとうございました。

本来は現実逃避であるはずのゲーム。推し。
でもおかしな現実に立ち向かうそれは、果たしてただの逃避行動なのか。立派に戦っているのではないか。
そんなことを考えさせられる掌編でした。

突然斬られた……！？
でも最後はハッピーに終わる。
700字に込められた温かなストーリー。胸がスッとしました。

カテゴライズされることでアイデンティティは生まれます。なぜならアイデンティティとは人から見た自分だから。 ゆえに、アイデンティティを大事にするということは、自分が人からどう見られて…続きを読む

まず、考え方がぶっ飛んでます。 ドラゴンが食べたいって。 しかも転生前に食べようと思っていたちょっと高い肉が食えなかった悔しさを晴らすために思いついたのが、ドラゴン肉を食すですから…続きを読む

序盤からコメディをフルスロットルで楽しめます。
テンポ良く進み、どんどんと畳み掛けてきます。

少ない文字数でたくさん笑いたい方は是非。

まずは五感を揺さぶる詩的で楽しい描写を堪能していただきたい。 『海王星の大気を染み込ませたような青いショートトレンチコート』 『カラフルなアイスクリームのように夜空』 『金星の砂色…続きを読む

穏やかな物語でした。 この中で起きていることはとてもつらいことのはずなのに、悲しくなり過ぎず、穏やかな気持ちで読むことができました。 それは主人公の落ち着いた性格のせいなのか、ヒロ…続きを読む

ちょっと変人チックな先輩と、平凡な後輩のやり取り。 会話劇で物語は進行していきます。 突然ラブソングを歌いだしたり、話し方がどこか演説めいていたり、そういう面白い先輩がとても魅力的…続きを読む

文面から、初めてソープに行く青年の緊張感がビシビシと伝わって来て……めちゃめちゃ笑いました。 主人公はいわゆるネクラ非モテキャラなのですが、言葉選びが常に面白く、終始笑いながら軽い…続きを読む

探究者の男が大規模な組織の闇に気付き、復讐に立ち上がる物語。 作りこまれた世界とある種族の悔恨、ドラマ。壮大な物語の冒頭とも思えるようなスケールでしたが、最後は開かれた終わりとなり…続きを読む

パパ活って聞いていかがわしいものを想像して読まないのはもったいないです。 これは、ちゃんとしたヒューマンドラマです。 あ、冒頭を読んでお母さんのいかがわしいところを見てそれでブラバ…続きを読む

真っ白な空間に集められた人々。共通点は『自死』によって終わりを遂げたこと。 そこで繰り広げられる生前のドラマ。 運命の気まぐれと言えば、それによって死がもたらされることを指しますが…続きを読む

死神の元へ自分の魂を刈ってほしいと現れた少年。 クラスメイトからの虐め、親からのネグレクト、警察の無関心……。どん底まで追い込まれた少年ですが、一風変わった報復をもって解決に向かい…続きを読む

色々と、主に倫理観を考えさせられる物語でした。 ブラック企業がいかに人の心をボロボロにするか、そしていかにボロボロになった社員が強いか。 王を殺すのは奴隷。 そういうお話だと思い…続きを読む

死に際の走馬灯元も言えるようなギリギリの状態で、彼氏にまで取り残されて……。 思い返すのは彼氏——売れないユーチューバーの、くだらない動画のことばかり。 くだらない動画、くだらない…続きを読む

初恋の女の子と結ばれるためにまじない研究部に入る主人公。しかしそこで出会った先輩に心を惹かれ、初恋の女の子への気持ちがある中で先輩のことも好きになってしまう。 そんな未熟な心が瑞々…続きを読む

コミカルに仕立て上げられた本作。 その中心に置いたテーマはとてもシンプルかつ、必要なものでした。 思えば人々は、「なぜ？」を追求し過ぎているように思います。それゆえに、どんどん生…続きを読む

出だしがあまりに正直すぎて笑ってしまいました。いやいや、全然笑うようなところじゃないんですけど、「のっけからいきなり飛ばすなぁ！」とウキウキわくわくしちゃいました。 冒頭一文で「こ…続きを読む

読後、そう問われているようにも思いました。 気持ちの問題で、世界が曇天に包まれたように見えたり、ノイズのようなものが感ぜられたり、体が鉛のように重くなったりすることはありませんか…続きを読む

事故で頭を打ち、なぜか「彼女のことだけ」を覚えていない主人公。 でも覚えてないと正直に答えたら超絶かわいい彼女が別れを切り出すかもしれない。そんな理由で始めた「覚えているフリ」。 …続きを読む

女性権利団体の主人公が、障碍者を売り物にしていると悪評のある風俗店にインタビューしに行くところから物語は始まる。 しかし、店で働く人々と言葉を交わしていくうちに、自分が信じていた『…続きを読む

駄菓子屋で紡がれる、少女と駄犬とカミサマのおはなし。 カミサマはずっと昔に死んでいて、記憶を探して駄菓子屋で詩集を読んでいる。 炎天下の中、繰り返される日常と、変わっていく日常。 …続きを読む

【本文抜粋】 　今や深海から宇宙まで手を伸ばしている人類が、それでもまだ、足を踏み入れていない土地がある。 　人工衛星では磁場の影響か確認ができず。ヘリや船では気象の激しさにより近…続きを読む

序盤に展開される密度の濃いSF要素。 これはガチガチのSF作品……かと思いきや！ ハイエルフの博士と助手が行く先々で、カルチャーショックを受けまくり、最終的にとんでもない革命が起…続きを読む

愛くるしい猫と甘いお菓子と美味しいごはん。 幸せ詰め合わせパックな内容でした。 しかもしっかりビターな部分も織り交ぜて、読後感をよりまったりとしたものに仕上げています。 同作者さ…続きを読む

まさかカミングアウトにジャンルがあるとは思いませんでした。 短いですのであまり内容は話せませんが、ただただ笑えます。 安心して笑ってください。これから最強の黒龍を討伐するってときに…続きを読む

まさか動く金時計の話を読む日が来るとは夢にも思いませんでした。 発想の勝利です。また、単なる出オチではなく、事実と紐づけて上手くフィクションを作り上げられており、「本当にあったのか…続きを読む

この二人だからこそ味わうことのできる恋愛体験をさせてもらいました。 学校ならどこにでもあるような道具や朝読書の時間だけでここまで素敵な青春を構築できるなんてすごいなと思いました。 …続きを読む