夏の物語でした。
叔父さんの元へ遊びに行き、浴衣を着て花火をしてスイカを食べる。
ただそれだけの……しかしただそれだけが、どれだけ尊いことか。普通に夏を満喫することができなかった主人公夏輝にとって、それがどれほど幸せなことだったか。
途中、演劇のセリフが合間合間に挟まるのですが、最初はただの賑やかしだった設定的なそれらが舞台装置として働いて、物語の本質に迫っていく様は、もう、もう……ため息が出ました。
本当に素晴らしかった。
センシティブな内容でありながら、しっかりと深堀りし、ディテールを凝らすことで、『対外的でアカデミック』なものではなく、『しっかりと芯を通した真実』となっておりました。
読み応え、満足度、めちゃくちゃ最高でした。
いや、ほんと良かった。