刻露清秀

「この画像を拡散しなければ呪われる」 　昔ながらのチェーンメールを思わせるその文言。しかし、今回の発信源はただの噂ではなかった。呪いの画像生成AI「シャドウ」。それは、ただのプロ…続きを読む

　十年前に解散したはずのカルト教団「サルベイション」。しかし、復活した彼らのパンフレットには、かつて自殺した女性が「救済の女神」として掲載されていた。彼女は本当に死んだのか、それと…続きを読む

　不登校の中学生の一夏の物語です。描かれるのは、家族との関係、友達との距離、そして自分自身との向き合い方。食べること、泣くこと、笑うこと――そんな日常の積み重ねが、当たり前のようで…続きを読む

　宇宙人に侵略されている、臨時兵卒として入隊する、という言葉からは想像もできないほど日常によく似た主人公の戦況。敵はなかなか現れず、戦争というからには死者も出ているはずなのにまるで…続きを読む

　仲が悪いわけではないけれど、たくさんの思い出があるわけではなく、親戚のおじさんのような印象を残してこの世を去った父。その父の残したARグラスを、まだ反抗期の訪れていなかった、けれ…続きを読む

　地球は侵略戦争に敗れ、文明は崩壊。そんな中、異惑星人たちによる「地球文明再生プロジェクト」が始動していました。強制移住させられた里帆は、博物館の学芸員として召喚され、稲作文化の再…続きを読む

　満月の夜、主人公が出会ったのは、小さな鳴き声をあげる「君」。やんちゃで無邪気で愛らしく、毎日一緒にいるうちに、世界が少しずつ明るくなっていく。しかし、この物語はただの心温まる出会…続きを読む

「ねえ、あなた、死ぬの？」 　——そんな残酷な微笑みとともに現れた美しい少女。花吹雪が舞う季節、ふたりの出会いと別れの物語が静かに綴られます。 　詩のような文章が紡ぐ幻想的な世…続きを読む

　毒殺を恐れ、社交の場を避けたい王子オーウェン。けれど兄に押し切られ、しぶしぶパーティーに参加することに。そこで彼が出会ったのは、まさかの運命の人……!? 予想を裏切る展開に、思わ…続きを読む

　落ちぶれた男と、毒を持つ女。二人が出会い、交わす言葉のひとつひとつに、どこか妖しくも抗えない引力を感じます。女の正体や目的は最後まで明かされず、それがこの物語に深い余韻を残してい…続きを読む

　戦が終わり、世の中は平和になった——はずなのに、人ならざるモノの厄介事はなくならない。妖怪専門の調査をしている信太郎は、妻の永と穏やかな日々を過ごしながらも、次々と奇怪な事件に巻…続きを読む

　本作は、冬の帳村と呼ばれる小さな村を舞台にした幻想的なミステリーSF作品です。17歳の少女・新奈は、村人たちが雪が降るたびに当日の記憶を失うという現象の中で、常に孤独な存在として…続きを読む

「このさき危険　立ち入り禁止」 
　どこにでもありそうな注意書きの看板が、一歩一歩、不気味で異様な物語へと読者を誘います。『空白』は、淡々と進む筆致の中に、深い悲哀と恐怖を湛えたモ…続きを読む

　19歳の結月といとこの陽太、「普通ではない」と自ら語る二人の姿を通して描かれるのは、青年期特有の鬱屈した感情と、その先に見える一筋の光です。繊細な筆致で心の奥底を描き出し、読後に…続きを読む

　本作『家電の替え時に』の中心にあるのは、AIメイドである「私」と、わがままで愛すべき「お嬢様」との奇妙で深い絆。物語を通じて、お嬢様にとって、ロボットが単なる「道具」や「家電」を…続きを読む

　ウィンテルは冬の魔女。彼女の役目は、世界に冬をもたらし、管理すること。そんなウィンテルと、彼女に仕える使い魔・ビノが過ごす、ある冬の日の物語です。 　まるで童話のような優しい世…続きを読む

　キャッチコピーとタイトルが、物語を読み終えた後に、胸に深く刻まれる作品です。何度も、とレビュータイトルにいれたのは、読み終わった後、またキャッチコピーとタイトルに戻ってきて欲しい…続きを読む

　本作はちょっと不思議な世界観の中で繰り広げられる、等身大の高校生カップルの恋愛模様を描いたラブストーリーです。二人が抱える「箱」とは、ただの道具ではなく、思い出や感情が詰まった大…続きを読む

　この物語は、まるで干しイカな知的生命体との出会いを通じて、潜水艇乗りナナミが深海から宇宙へと思考を巡らせる物語です。なんのこっちゃ、と思われるかもしれませんが、本当にこういう話で…続きを読む

　推し活をテーマにしたラブコメディである本作は、広義のオタク心に刺さるキュートで共感度抜群の物語です。推しキャラへの愛情が日常に彩りを与える一方で、推し活を通じてリアルな人間関係が…続きを読む

　ざっくりまとめるならば、この物語は、イラストを描くことが好きな半井蒼真と、中高が同じで『異性のクラスメートとしてはそれなりに気安い距離感』の林田珠季の青春物語です。 　ですが！…続きを読む

　帝都の片隅に佇む異形の娼館『戀歌楼』。この物語は、人間と異形が交わる特異な空間で紡がれる美しくも儚い恋愛奇譚です。商品として扱われる異形たちは、どれも『欠陥品』ばかり。しかし、そ…続きを読む

　×のところにはクスリと入れようとしてひよりました。すみません。 　アブない話かって？　失礼な。SFと現実の区別くらいつけてください。まあクスリの話なんですけど。 　政府が、国…続きを読む

　世界が水に沈んで、人類は滅亡……することなく、意外とたくましく生きていて、けれどもそのまま生活することはできないので、海に潜って作業を行うダイバーが人気の職業になっている世界。ダ…続きを読む

　南極大陸に存在する唯一の二足歩行者が『ペンギン』と呼ばれる世界。そんなペンギンの旅程は孤独で緊迫感に満ちています。

　見事な文章で綴られる、厳しい旅路に刮目せよ。

　某口のうまいAIのせいで地雷系女子るなてゃは、物語の世界のビザンツ帝国にトリップすることに。赤い帽子に青いボディ、お腹の『ド』がキュートなドンペンを身につけていたばっかりに！　彼…続きを読む

　コメディであることに間違いはないのですが、後半にかけてのなんともいえない切なさ。タイトル回収もお見事です。 　本作に登場するペンギンはケープペンギン。アフリカ大陸南西部に生息す…続きを読む

　本作は、【ペンギンSFアンソロジー】への参加作品。『私』が【ペンギンSFアンソロジー】に出会ったところから物語がはじまり……って、これはエッセイかって？　いいえ。ジャンルをよく見…続きを読む

　サザエさん症候群なんて言葉があるくらい、社会人にとって月曜日は憂鬱なものとされています。勤めている会社が黒よりの灰色なら、なおさら。 　そんな黒よりの灰色の日々の中にあらわれた…続きを読む

　タイトルの『ペンギンコード』はSNSの名前。MBTI診断のような性格診断で、ペンギンタイプの人が使用しているSNSです。 　様々な意見が飛び交うSNS。ペンギンタイプには息苦し…続きを読む

　我輩はペンギンである。 　本作の主人公が繰り返し口に(?)する言葉です。翼に、羽根に、脂肪に誓って。仄めかされる人間の存在、この世界の秘密……。短い中にSFらしさがぎゅっと詰ま…続きを読む

　言わずと知れた飛べない鳥ペンギンと、ファンタジー界の空の覇者ドラゴン。それにくわえロボットとタヌキが、この作品の登場人物です。 　チグハグにも見える取り合わせですが、飛べない鳥…続きを読む

　ペンギンには不思議な性質があって、それはヒトには警戒心を持たずに、コイツはなんてでかいペンギンなんだ、と無邪気に近づいてくるそうです。 　そんなことを立ち食い蕎麦屋で聞く主人公…続きを読む

　本作は人間のハーとペンギンのピーの、異種族百合ダイアローグ集です。舞台は火星、人間は地球で3番目に賢く、ペンギンと人間は対話のできる世界です。 　恋愛、性愛、友愛、さまざまな色…続きを読む

　メタバースってご存知ですか？　私もあまり詳しくはないのですが、近年急成長をしている分野であることは、なんとなく知っています。 　本作の主人公は、そんなメタバースで動物を作る、い…続きを読む

　みなさん街のパン屋さんはお好きですか？　スーパーと違ってすぐ売り切れてしまうけれど、焼きたてが買えるのは街角のパン屋さんならでは。個性的なパンがあって、これがなかなか美味しいのも…続きを読む

　主人公は今まさに中学受験に挑んでいるところ。お題は『ぺんぎんとは何か説明しなさい』作文試験です。 　ただの友達とのおしゃべりや、理科の授業での発問ではなく、作文試験。何も書かな…続きを読む

　登場する人間はフーと『ぼく』の二人だけ。けれど文章のなかに踏み入れれば、広大で美しい世界が広がっています。 　ある種の『悲しい話』『切ない話』の側面はもちろんあって、その側面が…続きを読む

　アデリーとケープのコンビは、お洒落なバーで、ある絶品料理に出会います。マスターが差し出したその一皿をきっかけに、空に憧れる若きアデリーと、年長者ケープの冒険がはじまるのでした。 …続きを読む

　ペンギンってかわいいですよね。そして、そんなペンギンが泳いでたら、もっとかわいいですよね。 　本作はそんなカワイイ話……だけで終わるわけではありません。ペンギンはペンギンでも電…続きを読む

　この作品に登場するのは、イワトビペンギン。黄色い眉毛(冠羽)のかっこいいあのペンギンです。ペンギン好きな勘の鋭い方にはピンときてしまうかもしれませんが、このペンギンには冠羽の他に…続きを読む

　ある時……という書き出しは昔話の鉄板。これは可愛らしくも終末の香り漂う、ファンタジックな世界の物語です。 　主人公はペンギンのウェタ。いろいろあって、ひとりぼっちです。 　フ…続きを読む

　ある日、主人公のペンギン清美は、浜辺で一人の男性と出会います。この男性はもういないと思っていた同族であり、二人(二羽？)の間には恋が芽生えますが……。 　タグがついているので書…続きを読む

　大切なものは目に見えない。星の王子さまの有名な一節ですが、本作でも主役であるはずのペンギンは登場しません。 　ネットの普及した現代、ペンギンを目にしたことのない人というのは極小…続きを読む

　ペンギンは超音速で飛行するものです。常識だよね？　ペンギンが飛べないなんて古臭い妄説は、21世紀初頭に崩れ去りました。いいね？ 　ペンギンは飛ばない、ましてや音速で飛ぶなんて⁈…続きを読む

　人類はかつてペンギンであり、そしてまた、人類の向かう先はペンギンである。突飛な理論に説得力が生まれるのはSFの特権。私たちはどこから来て、どこへ行くのかって？　ペンギンから来て、…続きを読む

　トラックで走る二人組ってロマンありますよね。多くを語らずとも有能さが滲み出る渋い魅力をたたえた主人公と、口喧しくチャーミングなアデリーペンギン。対照的な二人による軽トラックでのワ…続きを読む

　本作を一言でまとめるのはいたって簡単。 　弟がペンギンを拾ってきました。ループがはじまりました。兄弟で力をあわせてループから脱出します。以上。 　シンプルなのに、ペンギンが醸…続きを読む

　もしも七日後に世界が終わるとしたら、あなたは何をしますか？　両親と旅行？　あえての仕事？　それとも大切な誰かに会いに行く？ 　王道ともいえる命題に真正面から向き合った本作。切な…続きを読む

　若きペンギン、チャールズは妻の一言に衝撃を受けます。 「空を飛べないなら走ればいいじゃない。ダチョウみたいに」 　チャールズは、愛する家族を残し、生まれ故郷プリンス・エドワー…続きを読む