『満月の夜に吹く風は』

ずっと笑顔にしてくれました。

だからこの幸せな日々の終わりを予感して途中から読み進めるのが寂しくなってしましました。それでも、どんな終わりでも最後まで一緒に過ごしたくて全部読んじゃいました。

呪術廻戦が最終回に近づいた時にすごく寂しく感じました。良い物語が、仲良くなれた物語が終わるあの寂しさを一万字に満たないこの物語から、カクヨムではじめて感じました。

メロンパン・ロスです。この楽しさ寂しさ、ずっと忘れません。

　満月の夜、主人公が出会ったのは、小さな鳴き声をあげる「君」。やんちゃで無邪気で愛らしく、毎日一緒にいるうちに、世界が少しずつ明るくなっていく。しかし、この物語はただの心温まる出会いの話ではありません。そう、君は――まさかのメロンパン！？

　シュールな設定に驚きつつも、読み進めるうちに愛おしさが募っていく不思議な魅力のあるメロンパン（！？）、その生態はシュールですが、ひたすらに可愛い！

　しかしこの物語はかわいいだけじゃないんです。主人公の心境の変化が丁寧に描かれていて、最後には胸がぎゅっと締めつけられるような切なさと温かさが残ります。

　不思議だけど心情はリアルで、優しく心に沁みる物…続きを読む

お腹が空きました。
優しくて変な書き出しで惹きつけられます。

秀逸ということばは固すぎて、この作品にふさわしくないと思うのですが、私の感じたものをうまく表現することばが思いつきませんでした。

匂い立つ……焼きたてメロンパンにはぴったりだけど、ちょっと違う。
精彩を放つ……そんな強そうな感じじゃない。
うならせる……そんな恐ろし気な感じじゃない。

生きていこうとすると、どうしても心のどこかを固く、鈍感にしなければいけません。それがうまくいけばいくほど、こういう作品に接したとき、どこかで感じている心の震えのようなものと正直に向き合うことができなくなってしまいます。
感じないようにしていた感情を掻き立てられてはいるのです。でも、直視できなくて、うまく言葉…続きを読む

『満月の夜に吹く風は』は、現代の日常にファンタジーを織り交ぜた、とても温かい物語やねん。満月の夜に出会う、可愛らしいメロンパン――その存在が主人公の心に少しずつ変化をもたらす過程が、とにかく優しくて胸に響くで！　忙しい毎日に疲れた心を、静かに癒してくれるような雰囲気がたっぷり詰まっとる。しかも、ただ癒しが描かれるだけやなくて、主人公が抱える孤独や葛藤も丁寧に描かれてるから、共感しながら読み進められるんよ。この物語が持つ優しい世界観に、きっと読者も引き込まれると思うわ～。

この作品の講評会では、この物語の持つ「癒し」と「孤独」のバランスが大きなテーマになったんよ。トオルさんはメロンパンの存在…続きを読む

　パンが未知の生物となった不思議な作品だが、視覚・聴覚・味覚・嗅覚・触覚と五感をふんだんに刺激する。不思議なようで、計算された世界なのではないかと思う。
　さらに、それが上手く短篇の中に収まっている。タグに児童文学風とあるが、大人め子供も十分に楽しめる作品。

言ってしまえば、世間はどうしようもないほどに病んでいる、とも言えるこの現代。
でも、どんな境遇であろうと生きていくには愛と癒し、そして想像力が不可欠。

人間とは違う、言葉が通じない生命だからこそ
気持ちを通わせようと相手を想い察しようとする。

翻って、人間同士はどうだ？

なまじ言葉が通じるから、おかしな感情をぶつけ合って齟齬を生む。
かつて神がバベルの地で言葉を乱した気持ちが別な意味で共感できてしまうような気さえする。

そう考えると、
物語の中の異形は、至極全うな姿を纏って彼女の前に現れたといえるかもしれない。



いつもマーガリンばっかでごめん、今度とびきり美味しいバター買ってく…続きを読む