手を繋いで歩いてくれた君に、笑顔でさよならを

有名なあの映画を思い出した。
読者を物語の世界に引き込み、忘れられない体験を提供することができる伏線とは、まさにこんなお話なのだろう。

主人公 司の目線でお話が進んでいくので、司が見る、感じるものをそのまま捉えてしまう。
司をいつも肯定してくれる人は、幼馴染みの可愛い静音。
後半、その意味や真相が明かされると、淋しささえ感じた。

久しぶりにはまったミスリード。
よりシンプルで読みやすいネット小説が多いなか、かえってこのお話の面白さを強調しているように思える。

ほら、「全力で応援するから、一緒に頑張ろう」と言う声が、あなたの中からも聞こえるかもしれない。

　キャッチコピーとタイトルが、物語を読み終えた後に、胸に深く刻まれる作品です。何度も、とレビュータイトルにいれたのは、読み終わった後、またキャッチコピーとタイトルに戻ってきて欲しいから。『手を繋いで歩いてくれた君に、笑顔でさよならを』は、人生に疲れ、希望を見失った主人公・司と、彼を優しく支える幼馴染『彼女』との交流を軸に描かれる成長譚です。

　物語は、司が彼女とともに、少しずつ日常に彩りを取り戻していくところから始まります。三話までの展開は、穏やかで温かな日々のエピソードが丁寧に描かれています。司が何気ない日々の中で少しずつ変化していく様子には、彼女の無償の愛情が込められており、読者にもそ…続きを読む

不登校になった僕に優しく接してくれる幼馴染の彼女。
彼女のおかげで少しずつ前を向いていける。
けれどその彼女には秘密があって……。

じんとくる最終話。
東野圭吾さんの『秘密』を少し思い出しました。
ここから歩き出すための、さようならの物語。

切ないけれど、温かい。