我思うゆえに我はペンギンなり……?

 我輩はペンギンである。

 本作の主人公が繰り返し口に(?)する言葉です。翼に、羽根に、脂肪に誓って。仄めかされる人間の存在、この世界の秘密……。短い中にSFらしさがぎゅっと詰まっています。

 ディストピア風味というあらすじの言葉に偽りはなく、ハッピーな物語というわけではないですが、主人公の言葉に誘われて、いったい『我輩』は『ペンギン』とは何者なのか。ぐいぐい引き込まれていく素敵な作品でした。