ホシガホシイカ

　この物語は、まるで干しイカな知的生命体との出会いを通じて、潜水艇乗りナナミが深海から宇宙へと思考を巡らせる物語です。なんのこっちゃ、と思われるかもしれませんが、本当にこういう話です。考えるな、感じろ！　「干しイカ」というユニークなキャラクター設定が一見ユーモラスに感じられますが、その背後にある深い哲学的テーマが物語全体を引き締めています。会話という行為の本質や、異文化間の理解の難しさを描くだけでなく、AIとの共存や宇宙的視点での生命のあり方をも掘り下げているからです。

　読後、「SFらしさ」がぎゅっと詰まった素敵な短編だったとの感想を抱きました。特に、ミゾロギとの対話の描写には、現代の対…続きを読む

潜水艇乗りのナナミは波打ち際で乾燥したイカを発見しました。
低温ボイスのコンシェルAIに食べられるか聞いてみると、なんと光を使って話しかけてきているとのこと。
干しイカを復活させる為に潜水艇に乗って海中へ。
イカの発する光、海中の描写は美しく幻想的。
知能の高過ぎるイカの正体、その目的、結末。壮大で驚きのある展開が軽妙に語られています。
新鮮な気持ちで読めるSFでした。

干しイカが話すってどういうことだろうと思いながら読み始め。「なるほどそうやって意思疎通するのか」という感心から「ってことは干しイカ、知能めちゃくちゃ高いのでは……？」と考えているうちに舞台は海へ。
そこで待っていたのは干しイカとのとても綺麗な交流でした。

最後はAIが発達してきた現代社会への風刺っぽさもあり、可愛さと綺麗さと反省を一気に楽しめるお話です。

潜水艦乗りのナナミは、波打ち際で干からびかけたイカを見つける。しかし、イカはただのイカではなく高度な知能を持ったイカで……。
プラネタリウムSFをイカやAI、海中の交流で解釈した、新感覚な近未来ノベル。
主人公はボーイッシュでサバサバした気質の潜水艦乗り・ナナミと、低音ボイスおっさん型コンシェルAI・ミゾロギ。二人の軽妙なやり取りも見どころです！