クリスマスイブ、少女ミユの許に現れたのはペンギン姿のサンタクロース。本作はミユとペンギンのやり取りが主軸となって進められる。なぜペンギン? と思いながら読み進めていくと、次第に解き明かされるストーリー。聖夜や星空、とんがり帽子をかぶったペンギンなど視覚的な部分と登場人物たちの心情面が相まって魅力的な空気感が漂う。目に留まるキーワードをことごとく回収する作者の筆が心憎く、読後の満足感は言うまでもない。夜になったら南の空を眺めてみようと思う。
「パパに会いたい」というクリスマスプレゼントのお願いをしたミユの元に訪れたのはペンギンのサンタクロース。何でペンギン?という疑問のまま始まりますが、すぐにその謎の真相は察せられ、そして予感を持って読み進める度に、切なくも優しい気持ちになれます。ミユとペンギンとの何気なくも温かい会話、そしてペンギンから贈られる言葉、皆の想い。沢山の感動が待っている、とても素敵な短編です。
どこか憎めないサンタと、”良い子”のミユ。散りばめられた要素が2人の世界を広げていき、幻想と現実を行ったり来たりしながら、地に足のついた展開を見せる。1万字とは思えないほど感情がもっていかれる物語です。読んでよかった。心からオススメします。
子供は我儘を叶えて貰って成長するのです。なのでサンタさんにお願いを書いたミユちゃんは、ちょっと良い子の60点です。
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