宇宙に大気が満ち、地球は公転をやめて太陽に沈む。人類は科学の叡智を総動員し、限られた命を宇宙船に乗せて脱出する――この冒頭から、本作は読者を強く惹きつけます。ハードSFの醍醐味を詰め込みながら、テーマは情報化された魂と記憶へと広がっていきます。
超光速の長旅の末、宇宙船内の生命体たちは肉体と魂を分離し、種の壁を越えた魂同士の交流が可能になります。この設定だけでも、SF好きにはたまらないはず。
物語は、五つの魂が偶然出会い、
「誰がペンギンだったのか?」
という問いを巡って展開していきます。単に推理ゲームとしても楽しめますが、世界観を極めて論理的に構築している点に、SF的視点が感じられます。
そして終盤、リプレイの意味がわかる箇所は感動的です。かつて存在していた命の記憶を辿りながら、魂たちは何を探していたのか。そして、「ペンギン」は何を象徴していたのか。
リプレイを望むあなたのために、この物語は再び始まります。