概要
このさき危険 立ち入り禁止 が出ます
京都府北部にある山の話をします。その山の看板にはこうありました。「このさき危険 立ち入り禁止。 松茸 がでます」……そんなの普通じゃないですか。松茸の何が危険だと言うのでしょうか。私は不思議でなりませんでした。しかし看板をくくりつけてある鉄柵は、山の奥へとつづく道を厳重に塞いでいます。私は嫌な予感がして、引き返しました。するとその夜、宿のご主人が、あの山の看板に関して、胸を引き裂くような話をしてくれたのです。
おすすめレビュー
新着おすすめレビュー
- ★★★ Excellent!!!喪失が生んだ“空白”が静かに狂気へ変わる物語 🌲🕳️
『空白』は、山に掲げられた何気ない「立ち入り禁止」の裏に隠された喪失と狂気の物語です 📚👻
山という閉ざされた空間と、「立ち入り禁止」という何気ない言葉が、物語の中ではじわじわと重みを増していき、読み手の想像力をじっと見つめ返してくるような構成になっています 🌫️🌲
印象的なのは、恐怖の“音量”が決して大きくならないところです。血が飛び散るわけでも、派手な怪異が暴れるわけでもないのに、人の心の中に生まれた“空白”が、何よりも恐ろしく感じられるように描かれている 🤔💔
失われたものの大きさ、その後に残る虚無感、それに耐えきれず少しずつ歪んでいく心――そうしたものが、説明しすぎない筆致で淡…続きを読む - ★★★ Excellent!!!静かに狂気に染まってゆく
なんとなく読み始めた本作ですが、気がつけば夢中になってページをめくっていました。
私有地に勝手に入り込んできた人間によって、愛する家族を理不尽に奪われた弘樹。
彼が抱える孤独と寂しさが胸に迫り、自然と感情移入してしまいます。
その悲しみがやがて狂気へと変わっていく過程にさえ、共感を覚えました。
これは、誰にでも起こり得る話なのではないか――家族を奪われ、ひとりぼっちになってしまった時、自分は今までどおりの自分でいられるのか?
そんな問いを投げかける物語です。
読み終えた後には、家族をより一層大切にしたいという思いが湧いてきます。
秋の夜長のお供に、ぜひ手に取ってみてはいかがでしょうか。