実話として取材したものをきちんと物語として再構成されている筆力、そして読者の心のつかみ方が秀逸だと思いました。
短編でも1話ごとに起承転結のような波を感じられますし、引き込み部分や山場、オチに至るまで、こんなに上手くまとめられる作者様の力量に脱帽です。
ホラーというカテゴリの作品には「読者を怖がらせる」という目的が少なからずあるように思うのですが、この作品集ではそうではなく、実話や伝承をいかに魅力的にかつ効果的に読者へ伝えるかを追求されているように思いました。
意識してできる部分というより、作者様の才能だと感じます。
その手腕が功を奏し「素」の恐怖を的確に伝えています。
大変楽しませていただきました。
また違うお話も拝読に伺いたいと思っております。^-^
ありがとうございましたー!!
怪談っていうと怖いものって認識を持ってないか? その認識、正解だ、大正解だ! ところがどっこい、カレーに隠し味としてチョコレートを仕込むことで意外性を演出するのと同じように、こちらとしてもただの怖い話だけで終わらないんだ! たとえば『第2話 明るいと、出る』。本来怖い話であるのに笑ってしまった! 出てくるのがアレだなんて!(笑)『第14話 委託管理物件』内容は結構ホラーよりなのに、応援コメントで不覚にも噴き出してしまった! この作者さんのもう一人の主役にしてやられた!(笑)詳しい内容は言えないが、気になったら見てみてくれ! たぶん同じ様に噴き出すはずだぜ!
失礼しました。
ついギャグ要素が好きなのでそればかり取り扱ってしまいましたが、こちらの作品、やはり締めることはきっちりと締めてきます。怖いときは本当に怖かったです。たとえば『第12話 人が、見えない』。やはり一番怖いのは幽霊ではなく、人であることを教えてくれます。他にも『第13話 一人暮らし高齢者』。読んでる途中で変な声が出てしまうくらい怖かったです。あの最後はありかよぉ……と今でも思います。このレビューを書いているときは怪談の季節ではありませんが、それでも十分楽しめるこちらのお話、どうか見てみませんか?
もう、タイトル通りの怖い話集です。
作者が渾身の情報収集力を駆使して、本当に聞き集めたオカルト話たち。
こういうの好きな人にはもう、タマランと思います。
深夜のビル、動く人形、旧校舎に、みみずうどん。
定番舞台を総浚えしつつ、怪談好きのハートを射抜いていくことでしょう。
ねっとり粘着質な雰囲気ではなく、淡々とクリアに事実を語るタイプで、非常に読みやすいです。
ヒヤッとした肌触りは、作者さんの持ち味が存分に活かされています。
土着の因習や、独居老人の現場など、聞き込みならではのリアルさが間に挟まるのも印象的でした。
不審な顔を向けられようが、熱心に取材したこの成果、ぜひ堪能してみてください!
作者は、「見えない人」だそうです。が、怖い話はなぜか集まってくると。
よく本屋の棚にならんでいる怪談話なんかをたまに立ち読みするんですが、正直、怖い話だと思ったことは一度もないです。どれもこれも拍子抜けするような、愚にもつかない怪談話ばかり。
ところが、この短編集に集められた恐怖の体験談は、どれもこれもがガチで怖い。身体も魂も、きーん!と響くほど、恐怖に震える内容。しかも、普通はさ、短編集って、全体の流れとか、メリハリとか考えて、ちょっと泣ける話とか教訓的な話とか、入れてこないですか? ちょっと息抜き的な内容のエピソードとか。
本作、そういうの、一切ないです。最初から最後までクライマックス、手加減という文字は辞書にはねえとばかりに、恐怖の連弾を決めてきます。
見えない作者だからこそ、却って描写が怖いのでしょう。見える人は、やはりある程度、それが日常になっているから。
3話続けて読んだら、疲れました。怖いので、わざと混んだ電車の中で読みました。
用法と容量は守ってお読みください。