ガチだ、ガチすぎる

 作者は、「見えない人」だそうです。が、怖い話はなぜか集まってくると。

 よく本屋の棚にならんでいる怪談話なんかをたまに立ち読みするんですが、正直、怖い話だと思ったことは一度もないです。どれもこれも拍子抜けするような、愚にもつかない怪談話ばかり。

 ところが、この短編集に集められた恐怖の体験談は、どれもこれもがガチで怖い。身体も魂も、きーん!と響くほど、恐怖に震える内容。しかも、普通はさ、短編集って、全体の流れとか、メリハリとか考えて、ちょっと泣ける話とか教訓的な話とか、入れてこないですか? ちょっと息抜き的な内容のエピソードとか。

 本作、そういうの、一切ないです。最初から最後までクライマックス、手加減という文字は辞書にはねえとばかりに、恐怖の連弾を決めてきます。

 見えない作者だからこそ、却って描写が怖いのでしょう。見える人は、やはりある程度、それが日常になっているから。

 3話続けて読んだら、疲れました。怖いので、わざと混んだ電車の中で読みました。

 用法と容量は守ってお読みください。

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