本作を一言でまとめるのはいたって簡単。 弟がペンギンを拾ってきました。ループがはじまりました。兄弟で力をあわせてループから脱出します。以上。 シンプルなのに、ペンギンが醸し出す非日常の空気感や兄弟の軽妙な会話が心地よく、少し不思議系短編漫画のような読み心地。 ここで本作の名言を引用させていただきます。「フェッ、フェッ、フェェェェェ!」
ある夜の出来事。弟が一羽のペンギンを拾ってくる。そんなありふれた事象がどうでもよくなる現象が兄弟に舞い降りてくる。特定の時間にまつわる関わり方のSF物としての描き方がとにかくおもしろい。どこかにスイッチがあるはず、と読み進めるも、兄弟のあり方、クリームシチューの星型の人参、フェェェッが視点を掻き乱す。いや、掻き乱すというよりも深みを増やす。ペンギンを拾うという何気なさがシュールに思えなくなる新しい日常に出会えた感じ。この子たち、ほんとに兄弟?
このレビューは小説のネタバレを含みます。全文を読む(990文字)