ペンギン:「余はペンギンであるぞ。知恵を絞り、大いにもてなすが良い」

 出会いはいつも突然に。たばこの灰を落とすように、視線を落とせば……ペンギン? いやもう、これは運命でしょう。拾って帰る以外の選択肢は存在しないです。
 胸に一本黒い線があるのが特徴のケープペンギン。ワシントン条約で取引禁止とは……胸に一本引かれた黒い線が、まるで超えてはいけない一線のようにも感じられ、この先の展開にどこか不安を抱くような、そんな気がしました。
 うぉぉ……風呂場でぺちぺちと音を立てながら歩き回るペンギン。シュールなようでいて、めちゃくちゃキュートな光景じゃないですか……。水族館のガラス越しでしか間近で見る機会はなかなかないというのに……。
 急転直下の展開に驚きを隠せないまま読み進めれば、記憶はそのままに時間が巻き戻っていることが判明。そして、最終的に部屋に閉じ込められることに!? いや、それよりも何よりも、やはり無限ループって怖いですね。
 寝ることが、ループが発生するキーになっているのは、ほぼ間違いないのでしょうけれど、じゃあ不眠でいれば、ループを抜け出せるかといえば……そんなことはないのでしょうきっと。
 ループ開始前の行動を変化させる手段は数あれど、何を試してもなしのつぶて。まるで、この部屋だけ世界から断絶されたかのような絶望感が支配する空間に、orzとがっくりうなだれずにはいられませんでした……。
 そして、堂々巡りをひたすら繰り返した結果、原点回帰して瞬の発言に問題があった? ことが発覚。壮絶な兄弟喧嘩は、結局不毛なだけで結局二人ともリング……ではなく、ベッドに沈む結果に……安眠できれば、少しでも良い……なんて言ったら私も殴られかねないので、口を閉じておきます。
 お互いリングを降りたら、握手の瞬間。頭を下げあって、ペンギン様にも頭を下げて、おもてなし。バスタブの中ながら、泳げたことが大変ご満悦だったのか、ようやく無限ループから解放……。水を得た魚、ならぬ水を得たペンギン様はお気に召されたようで何よりです。……なるほど、ひっくり返す! つまり、ゲーム理論ですね!(違
 軽い気持ちで拾ったペンギンが巻き起こした、珍騒動の一幕。水の中で自由に泳ぎ回るペンギンのように、気ままに生きたいものですが、そんなお手軽な人生はきっと、駅前に行っても、落ちてはいないのでしょうね。それこそ、積もり積もった灰が残っているだけでしょうから。