世の中には、この物語がピンとこない人は幸せな現実を生きているのだろうという物語があります。これはそういう物語です。この物語が分かる人は、きっと隣にあの子がいます。あなたの隣のあの子を抱きしめてみませんか。
このレビューは小説のネタバレを含みます。全文を読む(658文字)
これは読む人によって解釈が変わる作品だと受け取りました。ガラスの心が比喩なのか、事実なのか。壊れると現れる「あの子」が何者なのか。語られないままに、しかし生々しく語り掛ける笑顔と呪い。私が悔恨と解釈したものが誰かにとっての未来なのかもしれない。解釈に大きな余地を持たせつつも、問いかけるでもなくただ開いて行くばかりの物語は、読後にモヤッとしたものを残します。おそらくそれは一生心に残るもの。なくなったと思っても、視界の隅で沈殿していて、ふとしたタイミングで浮き出て来て姿を現すもの。短いですが、一生ものです。
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