文句なしの★3つです!
不器用だけど真っ直ぐな男子高校生が、他校の弓道女子に一目惚れする!
友達の協力で、2人はすぐに接近するのですが、その女の子は失語症だった。
スポーツ小説としても素晴らしいですが、それに絡めて主人公の恋がどう発展するかがこの小説の魅力なのかなと思います!
弓道という、スポーツ小説にしては少し珍しい競技を扱い、その奥の深さを知る楽しみもさることながら、ヒロインがスマホで意思表示をするというところに、またオリジナリティーを感じます。
ヒロインの子は、主人公が失語症の物珍しさで近づいたと最初邪推するあたり、ちょっと疑り深く、加えて毒舌、上から目線、素直じゃない性格が災いして、不器用な恋の行方にヤキモキしますが、それもこの小説の大きな見どころ!
さらには、このヒロインの女の子が、めちゃめちゃ可愛らしいんです!
途中から、ズッポリと女の子の魅力にハマること間違いなしでしょう!
恋の行方!
君を想う矢は、ちゃんと届くのか?
皆さんの目で是非ご確認ください!
28メートル。それは遠いのか近いのかイメージしにくい距離感です。しかし、弓道に馴染みのある方なら、どれくらいの距離なのかピンと来るかもしれません。
高校弓道の大会。主人公の青磁くんは大会出場者ではなく、友達の応援をしに来ていました。そんなとき、とある女の子が弓を引く姿に一目惚れしてしまいます。誰しもが真剣に取り組む様子に惹かれるもの。青磁くんが恋に落ちてしまうのも仕方ありません。しかも、その女の子の所作は美しく、読者も思わず惹き込まれてしまいます。
彼女の名前も、通っている高校も知らない。どんな声で話すのか、どんな風に笑うのかも分からない。そんな状況でも彼女への思いをあきらめない青磁くんに、頑張れと声を掛けたくなります。
恋に不慣れな等身大の高校生。不器用ながらも前に進もうとする、初々しい恋の行方を見守ってみませんか?
弓道をやってみたくなる素敵な作品です。
描写がとても綺麗で、矢を射るときの静と動、臨場感緊張感が伝わってきて気付けば物語に引き込まれていました。
弓道の知識も豊富で、へえそうなのかーっと物知りになった気分でそこも読んでいて楽しかったです。
主人公とわけありヒロインのやり取りにはアオハルが沢山詰まっていて、悩みながら進む彼らの恋愛にも静と動があり、上手くいきますように~っと応援したくなる二人です。
周囲の友人たちも賑やかで、楽しそうにわちゃわちゃやっている場面には思わずくすりとさせられ、キャラたちのリアルを感じます。
読後は爽やか。
28メートル先の的に彼らは何を掴むのか、是非お見届け下さい!
28メートル――この距離は遠いのか近いのか。
このお話の主題は「弓道」です。弓をひいて的までの距離が28メートル。そして、このお話には「距離感」といったテーマもあります。
主人公は弓道には関心がありませんでしたが、とある友人の試合会場で永澤さんを見つける。
彼女の凛とした佇まいに一目惚れしたセージ君は、まるで弓矢のように真っ直ぐ彼女との距離を詰めようとする。
タイトル、弓道、そしてセージと永澤さんの2人の距離感。
作者様が細部まで散りばめたギミックに、恋愛という王道のスパイスが効きすぎて、読んでいて心が揺さぶられっぱなしでした。
素敵なお話をありがとうございました。
作品タイトルの28メートルとは、弓道における的までの距離ですね。この距離と、年頃の男女の距離感をダブルミーニングにしたわけです。
なぜ私が距離感に注目したかといえば、この作者の持ち味が「くっつきそうでくっつかない、もどかしい恋愛描写」にあるからです。しかも現代の若者らしく、無料通話アプリのメッセージ機能によって、既読がついたかつかないか、そもそも返信はくるかどうかで悶えることになります。
世代によって、文章交流に使っていた技術が違いますが、基本的なポイントは一緒なはずです。
シルバー世代の人は恋文でやっていたでしょうから、お手紙の返信がくるかどうかに悶えていたはずです。
eメールが登場してからは、メールの返信にドギマギしたこともあるでしょう。
いつしか無料通話アプリなどの、瞬間的に短文を送ることに最適化したサービスがメインになったことで、より既読ないし返信の価値が上がることになりました。なぜ価値が上がったかというと、リアクションをお手軽に返せるのに、なにも反応がないということは、相手はこちらに対してなんの関心も持っていないと表明することになるからです。
さて、そんな無料通話アプリを介した交流にばかり注目することになりましたが、あくまでこの作品は弓道の物語なので、こちらにも触れていきましょう。
主人公とヒロインですが、実は違う学校に通っています。それが弓道の大会をきっかけに知り合うことになりました。
主人公は、真面目で不器用なので、違う学校に通うヒロインと縁が生まれるはずもなかったんですが、主人公の友人たちが、とても頼りがいがあるので、奇跡のように交流が生まれました。
レビューの上の方で触れたように、悶えるような交流です。完全にお互いのことを知らない状態から始めているので、まさに手探りであり、ときどき躓くこともありながら、それでも確かに距離が縮まっていくのです。
ですが、二人の関係を繋いでいる弓道は、あくまで部活動としての弓道なので、どうしても部活動内の人間関係の歪さなども触れていくことになります。
そもそもヒロインは失語症なので、否応にも注目されやすいのです。注目はプラスにもマイナスにも働きますから、同じ部活動内での人間関係のトラブルなどでも無縁ではいられないのですね。
これ以上の話は、本格的なネタバレになるので、物語の本筋に触れるのは、ここまでにしましょう(すでにこの時点で、そこそこのネタバレはしていることを、作者に謝っておきます)
とにかく、弓道に興味がある人や、悶えるような恋愛に興味がある人は、ぜひともこの物語を読みましょう。