一匹の黒うさぎが高貴な人を守る騎士を目指します。でも、高貴って何? 大切なものって何?これは童話。学ぶ過程にある人に向けたお話。大人である私達は、この話を読み聞かせて言えます。大切なものってこういうものだよと。そして学びをやめない大人達に向けた話でもあります。心は枯らさないで。
ネタバレ回避のために詳しく書けませんが、とても心が温かくなるお話です。まるで絵本の世界に入ったかのような感覚になります。うさぎがとにかく魅力的で、愛おしい。温かくて、少し切なくて、どこまでも優しい。今の子供たちに、眠る前に読み聞かせてあげたい。または自分自身が読んで、子供の頃に絵本を楽しんだ日々を思い出し、懐かしさに浸りたい。そんな気持ちになる物語でした。作者さま。素敵な世界に招いていただき、ありがとうございます。
『きし』に憧れる一匹のうさぎ。群れから嫌われ孤独に過ごしていた彼の前に現れた迷子の少女。彼女と出会うことで『きし』になれます。そこで本物の『きし』とはなんたるかを学んでいく。切ないですがそれだけではない。心にポカポカとしたものが残る、やわらかく温かいストーリーでした。