スエテナター

殺し屋同士の無慈悲で殺伐とした抗争が描かれながら、先生と交わした道徳的な約束が作品の根底にあり、終盤に向かうに連れ、慈悲の増していくお話でした。 極限状態の残忍な争いの中でもなお…続きを読む

本作のキャッチコピー 『窓ガラス君の虚像がきらめいて景色に上書き保存されてく』 に惹かれて読ませていただきました。 大切な人に対してなかなか素直になれなくて言葉にできなかった――…続きを読む

実際、小さい子というものは何を考えているのでしょう。 レビュー筆者にも幼少期というものはあり、この作品をお読みする中で、（私は保育園に通っていましたが）先生が作ってくれた誕生日カ…続きを読む

どの句もとても素敵です。 雨の生み出す小さなドラマを感じました。 雨が降ると何かと大変なものですが、雨だからこそ楽しめること、気付けること、人を思いやる気持ちがあるのだなと思いま…続きを読む

この作品には、絵本を広げてみた時のような、淡くメルヘンな世界が広がっています。 誰かに語り掛けるような優しい言葉遣いで命の柔らかさを描き、日々湧き上がる自然な喜怒哀楽も表現されて…続きを読む

この作品は、作者様のいらっしゃる世界のエモい部分を表現するために書かれたものだそうですが、ネットも含めた広い世界、目を凝らせばありとあらゆるところに『エモい』は隠れていて、ちっぽけ…続きを読む

ホラーというものは、私達の未知や曖昧の隙をつき、今も隣で立ち尽くしているのかもしれません。 毎日当たり前に見ている風景の隅っこ、普段は覗かない死角、誰にも言えない秘密や趣味趣向。…続きを読む

私達は、決して優しい世界に生まれてきたわけではないと思うのです。 どれだけ人生を重ねても孤独から逃げることはできませんし、他人とのちょっとした行き違いで心をすり減らすことだってあり…続きを読む

コミカルなものから繊細なものまで、一首一首に物語が見えるようでした。 今日はこんなことやあんなことがあった、何もないつまらない日だった、何となく満たされなかった、ちょっと切なかっ…続きを読む

31音の作品の中に、作者様の優しい眼差しと柔らかな感性を感じました。 ご自身の日常を、ファインダーを覗くように切り取り、私達読者に見せてくれているようです。 日常ってこんなに愛しい…続きを読む

多感な青春期、病院暮らしの多かった二人にとって、気の合う入院仲間がいることは、目に見えない希望でもあり、日々の楽しみでもあるように思いました。 他の子たちよりも死に近いところにい…続きを読む

岬の先のレストランにやって来た姉妹。 彼女たちが食べるものは普通の食事ではないようで……。 冒頭、丁寧に描かれた描写文で、美しいメルヘンチックな世界観に引き込まれます。 皆様も…続きを読む

月曜日になると目的地に辿り着けなくなる女の子・方違くるりちゃんと、ひょんなことから彼女の怪現象に巻き込まれることになった苗村まもるくん、ふたりの12ヶ月を描いた物語です。 月曜日…続きを読む

※4話目までお読みした時点でのレビューです。 私達はファンタジーの世界に住んでいるというわけではありませんが、現実世界にもまた、才能のある人とない人のヒエラルキーが存在しているよ…続きを読む

自分の住んでいる町にも、もしかしたらこんな素敵な喫茶店が、どこかにあるのかもしれません。 店の本棚に並ぶのはお客さんを唸らせる数々の蔵書。店主の掛ける音楽と、ミルで挽いてくれるコ…続きを読む

この素晴らしい作品をどう称賛したらいいのか……語彙の少ない私には、とても上手に称賛できそうにありません。 ただ、少し読み進めるだけで、この作品が、心の籠もった、温かい作品であるこ…続きを読む

大人になった今思い返してみれば、こうした青春期は、とても綺麗で透明で神秘的で柔らかく純真で、愛しいものだなと感じます。 制服を着て級友と何気ない話をすることすら、今となっては貴重な…続きを読む

そつなく普通に生きているつもりでも、ふとしたきっかけで歯車が狂い、突然、虚無になったり疲れたり、自分だけが弱くて愚かな存在なのかなと思い悩んだり……。 そんなことが、私の人生にも数…続きを読む

記憶保険という発想がとても興味深いです。 大切な人を失った後の喪失感とどう向き合うかは長い人生の一つの試練なのかもしれません。 今作で扱われるアンドロイドも『生前の様子をいつでも…続きを読む

母とともに牛や馬のいる草原で暮らす少年・ジャックの運命譚です。 感受性が強く傷付きやすい性格で学校には馴染めないながら、豊かな自然の中で、兄のような存在のトニーと野菜を育てたり、…続きを読む

※＃9時点でのレビューです。 本作は掌編集『メトロポリタン・ストーリーズ』を下地とし、戦争後に再建された近未来の世界を舞台としたSF作品です。 エピソード＃9の時点で、心理交流…続きを読む

タイトルとキャッチコピー、あらすじに惹かれ、読み始めました。 『中学二年生の夏休み』というだけでも雰囲気がありますが、『ムーンタワー』『人魚』『カメラ』など、美しいものをたくさん…続きを読む

普段、百合というものをあまり読まず、殺伐百合というものもごく最近知りましたが、少女という存在をここまで優しく神聖的に描かれる書き手さまを、私は他に知りません。 こんなに無垢な敬愛を…続きを読む

『あなたはずっと、朝を待っていたのかもしれない。』 そんな一文から始まる、独白調の物語です。 作者さまは繊細な感性をお持ちの方で、そのセンスが随所に伺えます。 雪人君の白髪を絵筆…続きを読む

周りの人の都合で失われていった自分の時間は、どこかに集められているのではないか、その発想が面白かったです。 社会の中に生きていれば、時間を犠牲にしなければならない場面がたくさんあ…続きを読む

今作はカクヨムに投稿される読み切り作品としては少し長めの約13000字の作品ですが、肩肘張らずに気軽に読める、コミカルな作品でした。 主人公に拾われた捨て猫のクロちゃんがダンジョ…続きを読む

言葉にならないほど深いノスタルジアを感じました。 約2000字で表現された物語の他に、この親子には、こんなこともあったのではないか、あんなエピソードもあったのではないかと、色々に想…続きを読む

ここに出てくるキノコの妖精も動物たちもりん子ちゃんもみんな可愛くて、優しい童話の雰囲気を堪能できます。 おじいちゃんの軽トラを『ドロぶっぷ』と呼ぶなんて、とてもいいですね。 子供…続きを読む

はい、みなさんこんにちは！ はじめましての方ははじめまして！ 今回は乙島紅さまの作品『走れメロスRTA』のレビューを実況風に書いていきたいと思います！ あの太宰治の名作、『走れメ…続きを読む

私がSF作品に触れるようになったのはカクヨムに出入りするようになった、ここ1、2年のことです。それまではほとんどSFというものを知りませんでした。 ですが、SFというジャンルには、…続きを読む

大学時代の部室に久々に足を踏み入れた三十代の男女が、自分の人生なぞりつつ、懐かしい青春の時代を思い出すお話です。 長く人生を重ねていると色々なことが起こるものですが、青春期の出会…続きを読む

暖炉の灯る部屋で小さな女の子がおばあちゃんに本を読んでもらうというシーンから物語が始まります。雰囲気があってとてもいいです。暖炉のあったかさや赤い火の色がありありと感じられました。…続きを読む

　愛する娘の死。 　その娘を取り戻すため、怪しげな行商人から預かった『ある品』を使う夫婦。 　その晩に起こった世にも恐ろしい蘇生劇。 　そして、最後に待ち受けている衝撃のラスト。 …続きを読む

　かわいいタイトル、和やかに進む物語――衝撃のラスト。 　人は病で死ぬこともあるけれど、人の悪意に殺されることもあるのだなと改めて思いました。 　大人になって人間の悪意に慣れて…続きを読む

　海辺に満ちる闇の色も、一瞬一瞬で様々に音色を変える波の音も、人の心の寂しさも、透明感溢れる文体に導かれ、実体験のように堪能いたしました。 　心を揺さぶり、人生観を変えるほどの出…続きを読む

読み終わった後、あんまり胸がいっぱいで、何と感想を書いたらいいのか分からないくらいでした。 空に浮かぶ島で空魚と呼ばれる生き物とともに暮らす少女たちのお話です。 『黄金の雨』と…続きを読む

愛する人の大切な記憶が、突然つらい記憶一色に変わってしまったら、私たちはどのような選択が出来るでしょうか。 心の傷が癒えるまでただひたすら待つ。楽しい思い出をまた作り直す。 色ん…続きを読む

『大事なのは、入れ物じゃなくって中身』というテーマのもと、思い人・早苗の幸せのために、自分のできる限りの愛情を注ぐ青年・修司の姿を描いた作品です。 相手にふさわしい人間になるため…続きを読む

私たちは、一人で生きていけるように見えて、やはり一人では生きていけないものなのだと思います。 一つの集団の中で生きる上で、みんな無意識のうちに処世術というものを身に付け、自分を守り…続きを読む