第1回カクヨム短歌・俳句コンテスト短歌の部

普段私は短歌を嗜まない者なのですが、一気に読んでしまいました。

この歌集に収録されているのは主に二種類の短歌。

一つに、日常の風景を切り取った短歌。日常が伝わりやすい言葉を選んで記されていて、共感すること請け合いです。腕時計を買った歌とか、私は好きです。

そしてもう一つ、なんと、作者の方の推し小説の紹介が短歌になっているのです。
初めて見ました。おもしろい試みでちょっとびっくりです。
好きな作品の魅力を伝えようという心意気が伝わって来てすごいと思いました。

どちらの種類の句も魅力的で、とてもいい歌集です。

毎日絶えず流れて去っていってしまう日常を、言葉の包み紙でそっとくるんで、大事に残していく。
こちらの作品は、そんな素敵な歌集です。
その日あった良かったことも、それを経験して感じたことも、とっても貴重で大事なことであるはずなのに、三日もすれば忘れてしまうことがほとんどです。
日々それをもったいないように思っていたのですが、ちゃんと短歌という文学的な言葉にして積み重ねていくのが素敵ですし、それを見た人間もほっと一息つけるような空気感になっているのが、この作品のさらに素晴らしいところです！

素朴な言葉だけれど、だからこそ確かな温かみと優しさがある。
癒されること間違いなしの歌集です。
そして読…続きを読む

自称読み専さんの作者様はいつも書き手がとても嬉しくなるじっくりと丁寧な読みをしてくださる方です。
そんなtomoさまが綴るのはやはり誠意伝わる短歌。そして推し小説の紹介は、これもいつものtomoさんのご感想やレビューと同じく励まされるもの。さらには読んでいけば面白そうなお話を見つけることもできる。

ここにある歌の集まりは、お人柄あふれる随筆集です。

31音の作品の中に、作者様の優しい眼差しと柔らかな感性を感じました。
ご自身の日常を、ファインダーを覗くように切り取り、私達読者に見せてくれているようです。
日常ってこんなに愛しいものなんだなと思い出させてくれます。
また、愛読されているWEB小説を題材に書かれた作品も多数あり、WEB小説への敬愛も伺えます。

拝読しているうちに心が和んでいくように思いました。
とても素敵な作品です。