概要
手のひらに残った僅かな痺れと温もりを、私はずっと憶えている。
カクヨム甲子園2021ロングストーリー部門奨励賞受賞作。
男子バスケ部のマネージャー、陽咲は先輩達の卒業式を終え、部室で一人ボールを磨いていた。そこへ陽咲の想い人、梅慈先輩がやって来る。もうすぐ旅立つ先輩。残された時間を共に過ごすうち、陽咲は先輩に告白された時のことを思い出す。しかし、その思い出に耽る間もなく、別れは突然にやって来た。
からかう先輩、素直になれない陽咲。二人に残った「手のひらの記憶」とは――。これは二人の、恋と別れの物語。
男子バスケ部のマネージャー、陽咲は先輩達の卒業式を終え、部室で一人ボールを磨いていた。そこへ陽咲の想い人、梅慈先輩がやって来る。もうすぐ旅立つ先輩。残された時間を共に過ごすうち、陽咲は先輩に告白された時のことを思い出す。しかし、その思い出に耽る間もなく、別れは突然にやって来た。
からかう先輩、素直になれない陽咲。二人に残った「手のひらの記憶」とは――。これは二人の、恋と別れの物語。
おすすめレビュー
新着おすすめレビュー
- ★★★ Excellent!!!企画入賞レビュー「トリックだけじゃない、新しい工夫がここにある」
通常、意外性を重視する作品は その衝撃をラストにこそ持ってくるものです。
この作品で用いられているトリックもそう。
本来ならば、最後に種明かしをして我々を驚かせ、物語の幕を下ろすもの。
凡庸な作家ならば、間違いなくそうしたことでしょう。読者にちょっとした驚きを提供した事ですっかり満足してしまい、まさかそれ以上の高みがあるなんて想像しもしないのです。
この方は違います。
話の中盤にトリックの種明かしを済ませてしまい、それを踏み台にして更なる高みを目指そうとしました。それが驚きだけでなく瑞々しい感動をシナリオに付与すること。むしろトリックをセピア色に染まった青春の思い出を披露する為の手段と割…続きを読む