概要
その力は“奇跡の力”と呼ばれ、人々の間で重宝された。
しかし、力を持たぬ者は迫害の後、地底に追いやられてしまう。
いつしか大地の底で暮らす者はモグラと呼ばれ、軽蔑の対象になった。
人間が奇跡の力を使うようになって五百年。地上で生まれたにも関わらず、奇跡の力を授からなかった少女リア。
彼女は国を束ねる国主の娘でありながら、家族や国民に見放され、無慈悲に地底へと落とされてしまった。
それから十年。
リアを特別視する青年フランとの出会いによって数奇な運命に巻き込まれていく。
おすすめレビュー
新着おすすめレビュー
- ★★★ Excellent!!!絶望から這い上がり、少女はなにを手にするのか?
主人公の少女リアは、自身に全くの落ち度がないにもかかわらず、立場を貶められ、辛く厳しい生活を余儀なくされてしまいます。
ですが、持ち前の意志の強さによって、たまに俯くことはあっても確実に一歩ずつ前進していきます。読者はその姿にまず、心打たれることでしょう。
序盤、これでもかと苦難が襲いかかるリアですが。手を差し伸べてくれる青年、フランやドルフに出会い、助けられ、あるいは彼らを助け、手を取り合い、自身を取り巻く大いなる因縁との戦いに立ち向かっていく――
主役級のキャラクターであるリア、フラン、ドルフの三人だけに留まらず、脇を固めるその他の人物たちもしっかりと描写され、決して物語のための使い…続きを読む - ★★★ Excellent!!!決して折れず、何度だって立ち上がる。
作者様の文章力が非常に高く、読みにくかったり、作り込まれた設定と世界観に破綻があるなんてことは全くありません。
文句のつけようがないんです本当に!
ですので、ここからは自分の推せる部分を書かせていただきますね。
ヒロインが、とにかく前向きで、天国から地獄に突き落とされても、どんなに酷い目でに遭っても、理不尽に裏切られても、彼女は倒れません。
打ちひしがれても、最後には奮起して、前に進むんです。
こんなに応援したくなるヒロイン、そうそう出会えないと思います。
読者であってもそう思うのだから、傍にいる仲間だって、そんな彼女に応えたくなるのも自然なこと。
タイプはまったく異なるのですが、…続きを読む - ★★★ Excellent!!!無垢で一生懸命な主人公の身の上にすぐに感情移入できました。
光のラフィリアに祝福され平和な世界に生きていると思っていたリアが、突然自分が「奇跡の力」を持たないことで地底送りの身となり、絶望の淵に突き落とされる物語です。
リアが無垢で一生懸命なキャラクターとして描かれているので、彼女の身の上にすぐに感情移入できました。両親や親友から愛情深く育てられ、信心も篤かったのに、力がないというだけで一転、蔑まれる存在となる無情さに胸が痛みます。
一方で、地底に送られる寸前に現れた優しい黒髪の青年は印象的でした。「キミはきっとまた、ここまで上がってこれる」という言葉は、リアだけでなく私の心にも希望の灯火を灯してくれるようです。
リアが地底でどんな運…続きを読む - ★★★ Excellent!!!力を持たぬことは罪なのか?
誰もが光の女神・ラフィリアが授けた奇跡の力を持って生まれるはずの世界で、国主の娘として生まれながら、その力を持たなかった主人公、リア。
力を持たない者は「モグラ」と呼ばれ、地底に落とされてしまう。リアも地底で暮らすことを余儀なくされるが、その先に待つものは――
どのような形で生まれるかは、誰にも選べない。しかし、生き方を選ぶことはできる。そのことを強く感じさせてくれる物語だと思います。
奇跡の力を持ち、地上で暮らす人々が無謬かというとそんなことはなく、力の強い者と弱い者の間にある格差など、歪みが描かれていきます。
そんな中で、リアは何を思い、どう生きていくのか。
そして、女神ラフィリアの…続きを読む - ★★★ Excellent!!!生命力とは他者から与えられるものか。自身から溢れてくるものか。
※4話目までお読みした時点でのレビューです。
私達はファンタジーの世界に住んでいるというわけではありませんが、現実世界にもまた、才能のある人とない人のヒエラルキーが存在しているように思います。
本作は女神から力を与えられた人々が地上に住み、そうでない人は地下でひっそりと暮らすという世界観になっています。
地上に生まれながら何の力も持っていない少女・リアは、地上の人々の蔑視を受けながら地下世界へと送られましたが、力を与えられなかった人々が、苦しみながら地下生活を送っているかというと、決してそういうわけではないようです。
むしろ、プロローグにおける地上の人々の方が、目に見えないものに圧制…続きを読む