絶望から這い上がり、少女はなにを手にするのか?

主人公の少女リアは、自身に全くの落ち度がないにもかかわらず、立場を貶められ、辛く厳しい生活を余儀なくされてしまいます。
ですが、持ち前の意志の強さによって、たまに俯くことはあっても確実に一歩ずつ前進していきます。読者はその姿にまず、心打たれることでしょう。

序盤、これでもかと苦難が襲いかかるリアですが。手を差し伸べてくれる青年、フランやドルフに出会い、助けられ、あるいは彼らを助け、手を取り合い、自身を取り巻く大いなる因縁との戦いに立ち向かっていく――

主役級のキャラクターであるリア、フラン、ドルフの三人だけに留まらず、脇を固めるその他の人物たちもしっかりと描写され、決して物語のための使い捨ての舞台装置にはなっていません。
会話文だけでなく、適切な描写を切り取った地の文で、彼らの活躍だけでなくその苦悩までをありありと感じ取れる……そんな良質の読書体験があります。

時折挟まる短編も素晴らしいアクセントとして――緊迫感溢れる本編とは趣を変えた甘いデザートのようで、キャラクターへの思い入れを一段と深めてくれます。

……と、まあ、長々書いたんですが。言いたいことはひとつ!

手にとってどうぞ読んでみてください! 品質は私が保障します!

キャラクターだけの小説でなければ、物語だけの小説でもない!
両方おいしく頂ける、そういう小説です!

さあ、一緒にリアたちを応援しましょう!

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