無垢で一生懸命な主人公の身の上にすぐに感情移入できました。

 光のラフィリアに祝福され平和な世界に生きていると思っていたリアが、突然自分が「奇跡の力」を持たないことで地底送りの身となり、絶望の淵に突き落とされる物語です。

 リアが無垢で一生懸命なキャラクターとして描かれているので、彼女の身の上にすぐに感情移入できました。両親や親友から愛情深く育てられ、信心も篤かったのに、力がないというだけで一転、蔑まれる存在となる無情さに胸が痛みます。

 一方で、地底に送られる寸前に現れた優しい黒髪の青年は印象的でした。「キミはきっとまた、ここまで上がってこれる」という言葉は、リアだけでなく私の心にも希望の灯火を灯してくれるようです。

 リアが地底でどんな運命をたどるのか、そしてラフィリアを信仰する地上の社会が本当に正しいのかは今後の展開次第ですが、主人公の成長と世界観の深化に期待が高まる興味深い出だしでした。

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