御伽話のような、柔らかいメルヘンな冒頭から始まるこの物語。
しかし進むについて、骨太な設定が物語を貫き、少女を取り巻く厳しい世界と環境が露わになってきます。
そんな状況でも、決して明るさを失わない少女の健気さ、そして少女を守ろうとする少年が魅力的。
その少年も秘密を抱えており、そして旅路に同行する男も男で何やら過去を抱えている様子。
しかし男の、その過去の影にも潰されず向かい風の中に佇立するような様子もまた、物語に魅力を添えています。
まだ物語は序盤ですが、それぞれがしっかりとした意志と目的を以って進む登場人物たちの行く末が楽しみです。
物語を構成する文化、自然、生き物……全てが繊細に描写されており、この作品だけの世界観へ引き込む力を持っています。
文芸としての王道ファンタジーを読みたい方は、ぜひ開いてみていただきたいです。
主人公がまだ幼い少女なので、難しい話が分からなかったり、自由な行動が目立ったりもしますが、そんな彼女がこれから始まる壮大な旅の中でどのような成長を遂げるのか、という期待へ繋がっています。
故郷の外に広がる世界は、彼女の目にどう映るのでしょうか。
冒険、魔法、ドラゴン、聖樹など、単語を並べるだけでもワクワクできる魅力の詰まった本作。
世界を救うべく立ち上がった少女の旅路を、一緒に応援しましょう!
この小説はな、読者をぐいぐい引っ張って、続きが気になるような、そんな魅力がようけあるんやわ。
冒頭の「――――ぴちょん。」いう一文なんか、印象に残る秀逸な書き出しやと思うで。水の音が響く様子がありありと伝わってきて、一気に物語の世界に引き込まれるんやわ。音や水の描写は、雰囲気をうまいこと表現しとって、ほんまに見事やわ。それに、例えで使うてる言葉もピッタリで、情景がもっと豊かに感じられるんやわ。
主人公のユースティスは、心細さを感じながらも勇気を振り絞って前に進む姿が、少年らしいかわいさになっとるわ。樹官長に怒られる立場にいるゆう設定も、ユースティスの少年らしさをようけ表しとったと思うで。
もう一人の主人公のアムルは、人の心をほっこりさせるフシギな力を持った魅力的な少女やって描かれとって、興味そそられるわ。ユースティスとアムルの関係性には、なんかほっこりする温かさを感じられて、読んどって気持ちええねん。
この二人の子どもらが、物語の中でどないに成長して、大活躍してくのか、ワクワクが止まらんわぁ。みなはん、彼らの冒険の行方を見守りたいって思うやろなぁ。
全体的にな、この小説の書き出しはめっちゃ出来がええと思ったわ。物語の設定や世界観、キャラクターの魅力、文章の表現力など、どの点を取ってもめちゃくちゃ上手いで。書き出しだけで、すでにこないな魅力があるんやったら、傑作に決まっとるわ。