青村司

隣りにある私設図書館の廃館を切っ掛けに起こる、ボーイミーツガールな物語。 登場する少年少女の感性がどれも独特で、共感よりも俯瞰で楽しむシーンが多かった印象です。 雰囲気含めた非…続きを読む

感情としては間違いなく主人公寄り（電子書籍は読むし利点も享受していますが、やはり紙の本が好き） ですが、各人の主張も間違っていない。間違っていないんです。 悪人は誰ひとりいなく…続きを読む

前振りで胸が悪くなるような話かと恐る恐る読みましたが。 「胸糞が悪い」ではなく、唯々「切ない」物語でした。 なるほど、中の描写においては目を背けたくなるような展開がありました。…続きを読む

過去を記憶を語り合うふたり。 どちらが真実なのか。 それとも、どちらも真実ではなく第三の全く異なる現実があるのか。 ラストのシーンも恐怖ですが、それ以上に語り合うふたりの認識の…続きを読む

普段、児童文庫はあまり読まないのですが読書レビューが気になり手に取ってみました。 結論、良かった。 SNSを中心としたいかにも現代らしい、しかし中学生らしい葛藤や、それを自分な…続きを読む

母親の死。ほとんどの土地が生物の住めない異常な地域となった、喪失が重なった世界。 そんな世界と旅する少年と少女の出会い。 一見、ファンタジーのようにも見え、実はSF？と思いきや…続きを読む

一角獣と乙女の語り。 童話か絵画の中に描かれる1シーンのように優しく物語は進みますが最後に……。 妙に物分かりの良さそうな一角獣の様子に、以前にもこんなことがあったのかな？と…続きを読む

唐末期の宰相の物語。 李林甫というと、楊貴妃の親族楊国忠と権力を争い唐を衰亡させた佞臣と言われています。 「口に蜜あり腹に剣あり」と言われるような裏表のある、猜疑心の強い人物とさ…続きを読む

出版モノメイン、たまにカクヨム内のレビューとなっている読み物のご紹介。 率直で簡潔に、それぞれの物語の紹介をしていて非常に参考になります。 自分が読んだことのあるいくつかの書評は…続きを読む

今もし、貴方がどうしようもない欠落感や不安を抱えているなら、是非読んで欲しい。 この物語は満たされている人や、シンプルに目標へ向かって迷わず走り続けられる人の為のものではありませ…続きを読む

タクシーの中でのちょっとした会話。 当人たちにとってはそこそこに深刻で、しかし日常にあるような、ちょっとした問題。 それを会話の中でさらりと解きほぐしていく。 一話一話がしっか…続きを読む

戦国末期、豊臣家の衰亡の物語。 豊臣家の話というと司馬遼太郎さんの「豊臣家の人々」が有名ですが、本作はそれに劣ならない名作です。 ある侍女の死を契機に、崩れていく人々の関係性。…続きを読む

かつて、これほどまでにNagashi-Somenに熱い思いを叩きつけた物語があるだろうか？ そもそもなんでローマ字なのか？ 助成金を使った町おこしのイベント？ いやでもなんか凄…続きを読む

どこからが聞こえてくる猫の鳴き声、その正体は。 恨みを振りまくこともない、その鳴き声に、唯々哀しみを誘われます。 その真相は、何ともやるせない。 ホラーとも、ファンタジーと…続きを読む

地獄に落ちた主人公がやりたい放題を繰り返す、バイオレンスストーリー。 …なんですが、どこか違和感がある。良い意味で、です。 残虐だけど、飄々として爽快感すらある展開。そんな風に…続きを読む

外界と隔絶した環境で育ち、孤独に生きていた少女が、擦れたハンターの男と出会い、物語は動き始めます。 引っ込み事案で、でも自分の仕事には誇りを持っていて、それでも虐げられていた環境…続きを読む

自称効率厨の主人公。その自称は言動一致はしているけど、それが良い意味で崩れていく様子が良い。 少し色眼鏡がかかった解釈だった故に、随分と遠回りな有様になってしまうけど、それがまた…続きを読む

短編集である「探検家ロカテリア」シリーズの最終話。 「探検家ロカテリア」シリーズをまだ未読の方は、このシリーズを読んでから是非お読み頂きたい。 各話でのエピソードが、集約してい…続きを読む

リアルと少しだけ違う、日本に似た国を舞台にした戦記物語。 スピード感のある立体的な戦闘シーンと、ごく普通の感覚に近しい主人公の目線からの、日常話のギャップが魅力的です。 新章に…続きを読む

その症状の持ち主には分からない感覚、というものはあると思います。 ましてや固有の体質などの生活面でも対応が必要なら尚更、その溝は何度も抉られるように深く深く広がっていくのでないで…続きを読む

ザ・フライという古典映画を思わせる短編。 私自身、飛蚊症があるので、恐さはマシマシ。 ひたひたと迫るところからの、いきなりの展開はジェットコースターの様。 夏の終わりの朝、…続きを読む

若い二人の、別れの物語。 普通の、どこにでも居そうな二人の、ごく短い期間を切り抜いた短編。 ですが、何ですかねこの切なさは。 強くない。恋の続きを諦めてしまえるほどの弱さに、…続きを読む

え、なんでそうなるの？と思うところは多々あるかもしれない。 手の平返し激しくない？とか 騎士団長のおじさん、そんなあっさりどうして？とか いくら何でもそりゃ分かるでしょ！？とか …続きを読む

まずはタイトル、概要をお読みください。 うん、分からないような分かるような。 予測つきそうでしょう？ でも違うんですよ。 本編を是非読んで下さい。 これぞショートコメディ、…続きを読む

この時代ですと、義経の方が脚光を浴びがちですが、幕府という制度概念を作り出した源頼朝も、また天才です。 義経のような煌びやかな戦歴、戦術の鮮烈さはないものの、一進一退の中で勢力を…続きを読む

史実書を丹念に探りつつ、その矛盾点や別の記録から予想する、編纂者たちの内実を描いた物語。 記録の詳細を紹介してくれるので勉強になると同時に、歴史は勝者と勝者に逆らえない弱者が作る…続きを読む

なるほど。多分こうだろう。 と、裏が判った場合でも。だからこそ怖い、その理屈を踏まえた上でこれからも同じようなことが起きるのだろうか、あるいはこの判った事で説明出来ない時、どうす…続きを読む

軽妙な題材を取り扱うこと絶妙な筆者の短編。 ある、あるあるよ！そしてコワい。 怖い、恐い、ではなくコワい。 誰もが体験する可能性があるお話。 トイレに行くとき、ちょっとノブを回…続きを読む

心が疲れた時、またこの小説を読みたい。 そんな気分にさせてくれる、不思議な余韻を残す物語。 常に霧がけぶる小雨の中のような雰囲気ですが、決して陰鬱ではなく。 最後は、ほのかに日…続きを読む

独特な文体が魅力的な著者の短編恐怖譚。 登場人物の語りが真に迫っていますが、何より恐ろしいのが最後のシーン。 アレは何だったのか。どちらだったのか。 読者を混乱と恐怖に誘います…続きを読む

御伽話のような、柔らかいメルヘンな冒頭から始まるこの物語。 しかし進むについて、骨太な設定が物語を貫き、少女を取り巻く厳しい世界と環境が露わになってきます。 そんな状況でも、決し…続きを読む

主人公のオッサンが魅力的。 豪放磊落というか能天気というか、でもどこまでも前向き。 強いけども、何物にも動じない鋼メンタルというまででもなく、ふと人恋しさも感じてしまう。 ポス…続きを読む

友達を作るのが苦手な、普通の女の子。 ただひとつ、少しだけ変わった趣味があるだけ。その趣味も、驚くほど珍しいという訳でもないでしょう。 その趣味が切っ掛けで出来た友達も、別の…続きを読む

最初は正体不明への存在の怖さ、次に人の怖さ、最後に少しノスタルジックな切なさを感じる物語。 この先、主人公は今までとは少し違った視点で世の中を見るのかな、とか想像を馳せる余地があ…続きを読む

叩き上げの刑事、鏡堂達哉が挑む怪異事件シリーズの第一弾。 全七回、完結してますので安心してお読みいただけます。 ホラーですと「よく分からない恐怖」というモノが付き物（憑き物？）…続きを読む

説明になりがちな街の歴史をさらりと面白く書き流し、町や人々の描画が自然でその様子が目に浮かびます。 少しだけ残酷、でも全体の文体は軽妙。原典ほど容赦がないようなことはないけど、現…続きを読む

松尾芭蕉の、その弟子にまつわるエピソードです。 蘭学なども交え、御洒落な雰囲気をかもしつつ、京都の秋の連想させる描写が実に秀逸。 物語自体がひとつの歌のようにさらさらと詠めてし…続きを読む

色々な弱さ、それも他人から見たら多少は同情するかも…といった劇的ではない苦しみを抱えた登場人物が出会い、語り合う。 その劇的ではない辛さや弱さ、不恰好さが何ともいえない魅力を感じ…続きを読む

地名といい、描写といい、実に丁寧で緻密。 その細かい描写の中に差し込む、不自然な現象。 実際に体験した人が、その時の恐怖を思い出しながらも、感情を凍り付かせてしまったように淡々と…続きを読む