概要
「何しろ、人魚というのは執念深いものでしてね」
不治の病に侵された男の元へ市女笠の行商人が訪れる。彼が薬と称して売りに来たのは、人魚の肉だった。
おすすめレビュー
新着おすすめレビュー
- ★★★ Excellent!!!金輪際海に近づいてはいけない
病床に臥せる主人公の元に一人の行商人が訪ねてきます。
行商人の名は「しきみ」。
勝手に家に上がり込むと、「薬を売りに来た」と言い出し、天秤棒の両端に下げた行李から人魚の片腕を取り出します。
その腕を置くと、彼はさっさとその場を立ち去ろうとするのですが、最後に奇妙な忠告をするのです。
その肉を食ったなら、金輪際海には近づくな、と。
余命が残り少ないことを知っている主人公は、その人魚の腕を食べてしまいます。
翌日には病状が回復し、仕事にも就き、やがて結婚もするのですが――。
淡々とした語り口と静かに進む物語が、じわじわと恐怖の中に読者を引き込んでいきます。
ぜひ…続きを読む - ★★★ Excellent!!!嗚呼、げに恐ろしきは……?
人魚の肉を喰らうと不老不死になる。
古来から言われておりますが、人としての生き様を捨てても主人公は人魚を喰い長らえますが、人魚を譲った旅の薬売りとの忠告を守れず……。
人魚も、恐ろしいが私はこの薬を提供した行商人が恐ろしい。
正体不明でいかにも怪しいのに巧みに懐に入り込み決して押し付けるわけではなく「お試しくださいな」と囁くように誘導する。
気まぐれに人間を試し観察する神か、弄ぶ妖か……
不気味なのに多分夜道で
「もしもし、そうですよ貴方にお声がけしました」
と言われたらうっかり足を止めてしまうような魅力がまた、恐ろし。
ぜひ、御一読いただきたい。
そして、私と同じく「彼?」の…続きを読む