告げる顔

現れた不気味な顔。
しかし、実害がないならとやがれ慣れてしまう。その予言もまた、失笑を買う内容ばかり。

そんな身近になってしまった「顔」だからこそ、変化が恐ろしい。

是非「私」と「顔」の結末を読んで頂きたい。

静かな日常を追っているはずなのに、読み進めるうちにどこか落ち着かない感覚が積み重なっていく短編でした。
最初は些細に見える出来事や描写が、繰り返されるうちに少しずつ意味を変えていくのが印象的で、読者の受け取り方も自然と揺さぶられるように感じます。
物語として大きく語りすぎない分、読み終えたあとに「あれは何だったのだろう」と振り返りたくなる余白が残ります。
日常の中に潜む違和感を、味わわせてくれる一編でした。

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怖いという感覚、ありますよね？

「追い詰められる」とか「血が飛び散る」とか
ホラー作品で登場する表現は
「日常の中で唐突に死の臭いがするから」
だと私は思っていました。

突然見えた逆さまの顔。
当たらぬ予言を告げるその顔は、
何故か何かに反射した時だけ見えるのです。
怪異と呼ぶには十分な怖さなのに、
この作品の本当の怖さは、
「日常の中」に
「唐突」に
「死の臭い」がする瞬間に始まります。

でも、決して追い詰められないし、
血も出ない。

「疲れてるんだ、屹度」と
最初は勘違いのように思おうとした「私」は、
ある予言を境に
「死の恐怖」に取り憑かれるのです。

死の恐怖は、死ぬことへの…続きを読む

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