概要
巨大な稲の獣【穂成(ほなり)】が跋扈する世界。そこには、人々に豊穣と長寿をもたらす神聖な【銀穂成】と、猛毒で大地を汚す【赤穂成】が存在する。
辺境の青年・穂鷹(ほだか)は、父が遺した【呪い】と共に生きていた。幼い頃、父によって無理やり口に押し込まれた猛毒の赤米。父亡き後、穂鷹は家族を飢えから守るため、その忌まわしき行為を自ら受け入れ赤穂成を喰らう“赤喰い”となった。
毒に蝕まれるどころか、人の理を超えた強靭な身体能力を得ることになった穂鷹。その異質な存在は、銀穂成を管理する国家精鋭【刈人隊(かりうどたい)】との出会いによって、歴史の表舞台へと引きずり出される。
そこで明らかになる、父がかつて隊の英雄であったという事実。彼はなぜ幼い息子に毒の赤米を食わせ
おすすめレビュー
新着おすすめレビュー
- ★★★ Excellent!!!米と人が熱を持って生きている。
私、レビューは苦手なんですが、この作品はかなり好きなので書いてみます。
そもそも、新しい話が更新される度に、自ら進んで読むことはほぼしないのに、必ず読みに来てしまいます。
世界観がみっちり詰まっているし、出てくる人間の一人一人に温度と人生?を感じる。
主人公の穂鷹は、強くて真っ直ぐで素直で可愛い。彼はまだ秘密がいっぱいなので、この先の成長が楽しみです。
ちなみに私は、世話焼きな秋月と、口下手な護穀が好きです。
とってつけた登場じゃなくて、皆、そこにちゃんと体温を持って存在しているんです。
一言一言が、大切に紡ぎ出されていて、無駄がないので、現実的な非現実に浸れますよ。
濃厚な和…続きを読む - ★★★ Excellent!!!小説に質感がある。暗い雰囲気に抵抗がないならばおススメ
小説の内容や文体が、読書する者の五感を刺激する。
登場人物たちが感じているであろう感覚を共有させてくれるのが凄い。
また空気感として、ほの暗さや、べっちょりとした水気を感じる。
まるで黄泉国のようにも思えるが、そこに豊穣の象徴たる米がある、獣で、危険な存在だけれど。
何を伝えたいのかと言うと、本作品は雰囲気が最高ということだ。
独自の世界観をしっかりと読者に伝えてくれる出来であり、内容になってもいる。
テンプレは嫌いだ~。
と普段から述べられている方、これを読まずフォローせずでは勿体ない。
是非、読んで、フォローして、応援して、★を贈ろう。
一応、ダークな感じのあるファンタジー小説で…続きを読む - ★★★ Excellent!!!米の獣を狩るという発想
破壊と豊穣をもたらす米の獣という発想力。
キャラクターたちのネーミングセンス。
洗練された言葉の躍動感。
そこに生きる少年・少女たち、大人たちのリアルな苦悩。
確かに呼吸を感じられるような深い洞察からくる描写力。
読むほどにアニメーションのように想像が膨らみます。
他の方のレビューにもありましたが、
何度も読む度に味を感じる。
嗚呼、文章で米を食べているんだなと感じます。
・・・お腹は膨れませんが。
主人公の穂鷹がね。本当にいい子なんですよ。
苦労が多い人生なのに、擦れなかったのは
家族の影響であると、暗に理解できます。
第四支部の拠点に到着した時なんかは
その素直さが際立ちます。(都会…続きを読む - ★★★ Excellent!!!巨大な稲獣を狩り米を得る世界。少年は何を狩り、何を守るのか
巨大な稲の獣を狩り、その米を糧に生きるという独創的な世界観――それだけでも十分ユニークなのに、「赤米=猛毒な赤穂成」「銀米=神聖な銀穂成」という対になる存在を中心に、生態・社会構造・格差・価値観が構成されており心を掴まれました。
また、この設定が物語と噛み合っているのが素晴らしいです。
貴重な銀米が国家直属の【刈人隊】に独占され、都市部にのみ恩恵が集中し、辺境が飢えにさらされる構造は、ただの背景ではなく、登場人物たちの人生そのものに影響を及ぼしています。
世界観が雰囲気ではなく物語そのものを動かしている為、読む側は直ぐに世界観に没入できます。
第一部時点で、国家内部の陰謀【赫穂成】・…続きを読む - ★★★ Excellent!!!重厚な文体に込められた、繊細かつ綿密な世界観と米
一部の最後まで読ませていただいたので、レビューする事にしました。
先ず皆さんに伝えたいのは、この作品を読みましょう。100%後悔しません。
簡単に内容を伝えると、米の獣を少年が倒すダークファンタジーなのですが、表現力が凄い。
一行読むたびに、こんな表現の仕方があるのかと感嘆します。
何と言うか、その一行の文章を生み出すのに何度も熟考を重ね、書き出したのだなと私は思いました。
腰を据えてじっくり読む程に味が出る。
同じ話を何度も読み返して、登場人物の心境を想像するのが楽しい。
その場所の匂いや温度を感じられる表現力の数々。
私の好きな一文。
"その姿を見送りながら、両手で顔を覆って掌の中…続きを読む - ★★★ Excellent!!!心奪われる和風ファンタジーの開幕
最後まで読み終えてからレビューするつもりだったのですが、嬉しいことにかなりの長編になりそうだし、第1部完(23話)でキリが良いので、いったん書きます。
序盤の印象を乱暴に表現すると、『もののけ姫』と『鬼滅の刃』を足して2で割り、そこにお米を加えた感じ(!?)というものでした。稲が敵の形状や生態のモチーフになっている点がまず面白いのですが、それが奇抜なワンアイデアではなく、しっかりした知識に基づいてデザインされているところが素晴らしく、興味深い。その稲獣たちに立ち向かう国家直属の精鋭部隊『刈人隊』の規則、隊服、その生地に至るまで、世界観が丁寧に構築されています。
そうした土台の上に王道の安…続きを読む