小説とはコインの表裏の比喩だろう、と思う。その意味とは、基本読者は文章が第一印象である。だがそのオープンになっている部分から想像を飛ばし、何を言わんとするかを仮定し独自の結論を終結する。表しか見えない場合、絶対に裏の模様には辿り着けない。だから想像の余地があり、極めてエンタメであり、それが小説である。
この作品は巧みな文章力と読者に先を想像させるほどに緻密な構成によって惹きつけている素晴らしい作品である。先ほど述べたコインの表裏理論にも近しいし、可能性的ではシュレディンガーの猫みたく、全てを確認しないと絶対にロジックが確定しない、お手本のような小説だ。
皆さんも、想像力を掻き立てられるこの小説、「ピースストーン」を是非読んでいただきたいです。いつしかこの作品の虜になる、そんな魔法にかけられるはずなので。
異能×学園ファンタジーを、真正面から丁寧に描いているのがとても好印象でした。導入の掴みが良く、主人公・優人の等身大の感情に自然と感情移入できます。
仮面の少女をはじめキャラクター同士の距離感の描写が秀逸で、すぐ関係や説明に流れず、信頼や絆を積み重ねていく関係性が心地良い。
さらに一癖あるキャラの掛け合いも面白く、ついつい活躍や背景を見たくなってしまう魅力があります。
能力バトルも分かりやすく、テンポを損なわない構成が見事です。
能力者の発現の根源が歴史に刻まれている背景があり、長きに渡って現在に至る導線も上手いです。
読後に残るのは余計な重さではなく、素直に「続きが読みたい」というワクワク感。地についた王道エンタメとして完成度が高く、安心して読める良作だと感じました。
優人の純粋さと仲間たちの絆が、私の心を優しく包んでくださいました。バトルの迫力、ユーモアの軽快さ、ミステリーのワクワクが、すべてバランスよく絡み合い、毎話「もっとお読みになりたい」との思いにさせられます。リドラ様のキャラクターへの愛情が溢れ、誰もが応援したくなる作品です。特にピースストーンのコンセプトがテーマにぴったりで、失われたものを取り戻す希望が胸に響きます。長い連載ではございますが、このペースなら全話をお読みになるのが楽しみかと存じます。この作品に出逢い、心より感謝申し上げます。ぜひご自身でお読みになり、作者様、こんな素敵な世界をお届けくださり、ありがとうございます!