概要
「いいよ。あたしの心で世界が救えるなら。
みんなが幸せになるなら。あたしのハートを世界にあげる」
そんな純粋無垢な少女を一人の少年が引き留める。
少年は、口が聞けない。
少女だけが少年の言葉を理解することができる。
「ゆーくんの代わりに、あたしが伝える。
あたしは、ゆーくんみたいに何の力も持っていないけど、これくらいなら私にも出来るもの」
この世界では、力があるのが当たり前。
誰もが何かしらの力を持っている。
そんな中、その少女だけは、何の力も持っていない。
だからこそ、純粋な心を持っていた。
――何も持たない僕だけど。
――何も出来ない私だけど。
――彼女の為に、
――この世界の為に、何かをしたいと、そう思いました。
おすすめレビュー
新着おすすめレビュー
- ★★★ Excellent!!!聖なる大樹を巡る少女と、そして様々な秘密を抱えた少年と男たちの物語
御伽話のような、柔らかいメルヘンな冒頭から始まるこの物語。
しかし進むについて、骨太な設定が物語を貫き、少女を取り巻く厳しい世界と環境が露わになってきます。
そんな状況でも、決して明るさを失わない少女の健気さ、そして少女を守ろうとする少年が魅力的。
その少年も秘密を抱えており、そして旅路に同行する男も男で何やら過去を抱えている様子。
しかし男の、その過去の影にも潰されず向かい風の中に佇立するような様子もまた、物語に魅力を添えています。
まだ物語は序盤ですが、それぞれがしっかりとした意志と目的を以って進む登場人物たちの行く末が楽しみです。 - ★★★ Excellent!!!古き良き王道ファンタジー
物語を構成する文化、自然、生き物……全てが繊細に描写されており、この作品だけの世界観へ引き込む力を持っています。
文芸としての王道ファンタジーを読みたい方は、ぜひ開いてみていただきたいです。
主人公がまだ幼い少女なので、難しい話が分からなかったり、自由な行動が目立ったりもしますが、そんな彼女がこれから始まる壮大な旅の中でどのような成長を遂げるのか、という期待へ繋がっています。
故郷の外に広がる世界は、彼女の目にどう映るのでしょうか。
冒険、魔法、ドラゴン、聖樹など、単語を並べるだけでもワクワクできる魅力の詰まった本作。
世界を救うべく立ち上がった少女の旅路を、一緒に応援しましょう! - ★★★ Excellent!!!水の音が響く様子が伝わってきて、一気に物語の世界に引き込まれるんやわ
この小説はな、読者をぐいぐい引っ張って、続きが気になるような、そんな魅力がようけあるんやわ。
冒頭の「――――ぴちょん。」いう一文なんか、印象に残る秀逸な書き出しやと思うで。水の音が響く様子がありありと伝わってきて、一気に物語の世界に引き込まれるんやわ。音や水の描写は、雰囲気をうまいこと表現しとって、ほんまに見事やわ。それに、例えで使うてる言葉もピッタリで、情景がもっと豊かに感じられるんやわ。
主人公のユースティスは、心細さを感じながらも勇気を振り絞って前に進む姿が、少年らしいかわいさになっとるわ。樹官長に怒られる立場にいるゆう設定も、ユースティスの少年らしさをようけ表しとったと思うで。…続きを読む