誰もが光の女神・ラフィリアが授けた奇跡の力を持って生まれるはずの世界で、国主の娘として生まれながら、その力を持たなかった主人公、リア。
力を持たない者は「モグラ」と呼ばれ、地底に落とされてしまう。リアも地底で暮らすことを余儀なくされるが、その先に待つものは――
どのような形で生まれるかは、誰にも選べない。しかし、生き方を選ぶことはできる。そのことを強く感じさせてくれる物語だと思います。
奇跡の力を持ち、地上で暮らす人々が無謬かというとそんなことはなく、力の強い者と弱い者の間にある格差など、歪みが描かれていきます。
そんな中で、リアは何を思い、どう生きていくのか。
そして、女神ラフィリアの秘密とは。
彼女たちがどのような運命を辿るのか、目が離せません。
※4話目までお読みした時点でのレビューです。
私達はファンタジーの世界に住んでいるというわけではありませんが、現実世界にもまた、才能のある人とない人のヒエラルキーが存在しているように思います。
本作は女神から力を与えられた人々が地上に住み、そうでない人は地下でひっそりと暮らすという世界観になっています。
地上に生まれながら何の力も持っていない少女・リアは、地上の人々の蔑視を受けながら地下世界へと送られましたが、力を与えられなかった人々が、苦しみながら地下生活を送っているかというと、決してそういうわけではないようです。
むしろ、プロローグにおける地上の人々の方が、目に見えないものに圧制されて、息苦しく生きているように感じます。
プロローグ章から地底章へと移った途端、人々の開放された生命力を感じるように思いました。
第4話の『楽しい事、悲しい事。それは平等にやって来るのだとすぐに知った。』という一文が印象に残りました。
現代社会もまた、『与えられる人』は生きづらく、『生み出せる人』は生き生きと生きていける。そんなものなのかもしれません。
ストーリーを読み進めていけばもっと深くこの作品を理解し、いいレビューも書けると思うのですが、冒頭4話で感じた登場人物の生命力に、色々と感じるものがあり、レビューをお書きしました。
素敵な作品に出会えて嬉しかったです。