私達は、決して優しい世界に生まれてきたわけではないと思うのです。
どれだけ人生を重ねても孤独から逃げることはできませんし、他人とのちょっとした行き違いで心をすり減らすことだってあります。
でも、人間って不思議なもので、繊細なところを見せられてしまうと、その繊細さに愛しさを感じてしまうものだと思うのです。
どうしようもない世の中だと知っているのに、優しさも繊細さも些細な願いも捨て切れない、結局多くの人が、良心を頼りに生きているのですよね、きっと。
20首で構成された作品ですが、この作品を読んでいると、不思議と『ああ、この世には愛しいものがたくさんあるんだな』と思えてきます。